ー 「面談ではやる気があるのに、実際の仕事になると止まってしまいます」という代表者からのご相談 ー
「1on1で話すと、やりたいことも目標もちゃんと出てくるメンバーがいます。
『もっとお客様に喜んでもらいたい』
『この仕事ができるようになりたい』
『次はここまで成長したい』
と、本人なりの目標もあります。
話している時は、
『いいね、やってみよう!』
となるんです。
だけれども実際の仕事で、
思ったようにいかなかったり、
正解がわからなくなったり、
予定外のことが起きたりすると止まります。
そして最後は、
『これ、どうしたらいいですか?』
『このままでいいですか?』
と私のところに戻ってきます。
私が答えれば、また動けます。
だけれども、それを繰り返していると、
結局いつまでも私が判断し続けることになります。
目標を持つところまではできている。
次は、うまくいかない時にも、
自分で『じゃあここからどうする?』と考えられる人になってほしいです。
目標を、実際の行動までつなげられる人は、
何が違うのでしょうか?」

ー YELL’s大学からの回答 ー
目標を持っているのに止まる時、
「もっと目標を強く意識しよう」
だけでは変わらないことがあります。
研究したいのは、
その目標が「いつか行きたい場所」で止まっていないかです。
例えば仕事で迷った時に、
「私が目指している未来から考えたら、ここからどうする?」
と問い直せる。
うまくいかなかった時にも、
「だったら、もう一歩何ができる?」
と考えられる。
ここまでつながると、
夢や目標は飾っておくゴールではなく、
今日の判断を変える材料になります。
代表が毎回答えを渡す前に、
本人自身の未来から
次の一手を考えられる状態を育てていきます。
目標を「持っている人」と、目標を「判断に使える人」は違います。
目標があるだけでは、壁にぶつかった時の考動まで自動的に変わるとは限りません。
なかのかほさんにも、以前なら諦めたり、止まったり、苦しくなっていた場面がありました。
そこから、夢を思い出すことで「じゃあもう一歩何かできないか」と創意工夫し、自力で動き出せる場面が生まれていきました。
この記事では、なかのかほさんが、以前なら諦めたり止まったりしていた場面から、自分の夢を判断基準に「もう一歩」を考え、自力で動き出せるようになった実際の事例をもとに、目標を日々の考動へつなげ、自分で次の一手を考えられる人材を育てる方法を紹介します。
動画で見る|夢が「もう一歩」を選ぶ判断基準になるまで
こんなお悩みはありませんか?
- 面談では目標を話せるのに、実際の仕事になると止まる
- 想定外のことが起きるたびに「どうしたらいいですか?」と聞かれる
- 目標設定まではできても、日々の行動が変わらない
- 一度うまくいかないと諦めてしまうメンバーがいる
- 代表が答えを出せば動くが、自分では次の一手を決められない
- もっと自分で考え、工夫できる人になってほしい
- 本人の夢や目標を、仕事の主体性につなげたい
この記事でわかること
- 目標を持っていても行動が変わらない理由
- 夢を「いつかのゴール」から「今日の判断基準」へ変える考え方
- 止まりそうな時に、自分で次の一手を考える方法
- なかのかほさんが「もう一歩」を選べるようになった実例
- 代表がすぐ答えを渡す前にできる問いかけ
- 指示を待つ人から、創意工夫する人へ育てるヒント
なかのかほとは?
なかのかほ ⌇ 子どもの「好き」を得意に育てる
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タイムクリエイトラボ トレーナー
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教育心理学 元・塾講師 2児の母
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なぜ「目標がある」のに、仕事で止まってしまうのか?
目標設定というと、
- 半年後にどうなりたいか
- 今年いくら売り上げたいか
- どの役職を目指すか
- 何を達成したいか
といった「未来の到達点」を決めることが多くあります。
もちろん、それも大切です。
だけれども、実際の仕事では毎日、予定通りにいかないことが起こります。
企画がまとまらない。
お客様から想定外の反応が来る。
思った成果が出ない。
自信がなくなる。
その瞬間に必要になるのは、半年後の目標を覚えていることだけではありません。
「私はどんな未来へ行きたいから、今ここで何を選ぶ?」
と、未来と目の前の判断をつなげることです。


Before|以前なら「もうこれで出すか」と止まっていた
かほさん自身も、夢を描けばすぐに何でも行動できるようになったわけではありません。
本人が具体的に振り返っているのが、夢マイプロデザインを描く場面です。
思うように描けない時、以前なら、
「なんか描けないなぁ。もうこれで出すか。」
となっていたと話しています。
また別の場面では、
「私が我慢すればそうだよね」
と考えがちな自分もいました。
つまり、目標がなかったことだけが問題だったわけではありません。
壁にぶつかった瞬間、いつもの考え方へ戻って止まってしまう。
ここが、日々の考動を変えるポイントでした。
変化のきっかけ|夢を「叶えたい未来」から「今どうする?」へつないだ
かほさんの変化を研究すると、夢の役割そのものが変わっていることがわかります。
夢を遠くに置いて眺めるだけではなく、止まりそうになった瞬間に、
「楽しそうに夢を叶えるのが私なんじゃん」
と、自分が目指している未来から現在を見直すようになりました。
すると、問いが変わります。
「もうこれでいいか」
↓
「これじゃみんなひっくり返らんだろう」
「私が我慢すればいいか」
↓
「楽しそうに夢を叶えるのが私なんじゃん」
「もう無理かも」
↓
「じゃあもう一歩何かできないか」
夢そのものが問題を解決してくれるのではありません。
夢から現在を見直したことで、次に自分へ投げる問いが変わった。
そこから、創意工夫という新しい考動につながっていきました。
インタビュー|「自力で動き出せたり、もう一歩っていうのができるようになった」
Q. 夢を描いたことで、毎日の行動にはどんな変化がありましたか?
なかのかほさん:
「今までだったら諦めたりとか止まっちゃって。
苦しくなってたシーンで自力で。
動き出せたりとか、もう一歩っていうのができるようになったかなって。
思っています。」
Q. 実際に、止まりそうな場面では何を考えるようになりましたか?
なかのかほさん:
「夢マイプロデザインいつもだったらなんか描けないなぁ。もうこれで出すか。ってなってるところが。いやいや、これじゃみんなひっくり返らんだろう。
って思うようになったりだとか。」
Q. 「自分が我慢すればいい」と思いそうな時はどう変わりましたか?
なかのかほさん:
「あとは私が我慢すればそうだよねっていつもだったら思いがちな部分も。いやいや、楽しそうに夢を叶えるのが私なんじゃん。
っていうことを思うと、じゃあもう一歩何かできないかって創意工夫をしようって動けたり。」
Q. 感情に引っ張られる状態にも変化はありましたか?
なかのかほさん:
「感情。やっぱネガティブな感情に今ま、では引っ張られてしまっていた。ところが、引っ張られずにこのポジティブな引っ張ってくれる。
フレーズをうんと見つけたのかなって思います。」
After|「止まらない人」ではなく「止まっても自分で戻れる人」へ
この事例から研究したいのは、かほさんが二度と迷わなくなったわけではないということです。
思うようにいかないこともある。
「もうこれでいいか」と思いそうになることもある。
自分が我慢した方が楽だと感じる場面もある。
それでも、その場で終わらず、
「私はどんな未来を叶えたいんだっけ?」
という自分の軸から、
「じゃあもう一歩何かできないか」
と次の考動へ戻れるようになった。
人材育成で目指したいのも、一度も止まらない人をつくることだけではありません。
止まった時に、毎回代表が再起動させなくても、自分で問い直し、次の一手をつくれる人を増やすことです。
代表が欲しいのは「目標を言える人」ではなく、目標を使って判断できる人
この変化を組織に置き換えてみます。
例えばメンバーが目標面談で、
「もっとお客様に喜ばれる企画をつくれる人になりたい」
と話していたとします。
実際の企画で行き詰まった時、代表がすぐに、
「ここを直して」
「次はこれをやって」
「この案でいこう」
と答えを渡せば、仕事は早く進むかもしれません。
一方で、本人が自分で判断する機会は減ります。
そこで、本人が以前話していた未来へ戻してみます。
「お客様に喜ばれる企画をつくれる人になりたいんだったら、今ここから何ができそう?」
「今の案をその未来の自分が見たら、もう一歩どこを工夫する?」
「私に答えを聞く前に、あなたならどうしたい?」
代表が答えを隠すことが目的ではありません。
本人が自分の未来を使って、一度自分で考える時間をつくる。
ここが重要です。
「どうしたらいいですか?」と聞かれた時に、代表が返したい5つの問い
- 「あなたは本当はどうしたい?」
正解を聞く前に、本人の意思へ戻します。 - 「前に話していた“なりたい自分”だったら、ここでどうすると思う?」
目標と目の前の判断をつなぎます。 - 「今の案から、もう一歩だけ良くするとしたら?」
完璧な正解ではなく、次の工夫を考えます。 - 「何がわかれば、自分で決められそう?」
答えそのものではなく、判断に足りない情報を明確にします。 - 「じゃあ、まず何を試してみる?」
考えたことを実践へ移します。
「自分で考えて」と突き放すこととは違う
ここで注意したいのが、
「自分で考えて」
と言うだけで主体性が育つわけではないことです。
本人に判断材料がない。
経験がない。
ゴールが共有されていない。
権限の範囲がわからない。
この状態で「自分で考えて」と言われても、何を基準に考えればいいかわかりません。
だからこそ、
- 組織として目指すゴール
- 本人自身が目指す未来
- 判断してよい範囲
- 必要な情報
- 振り返る機会
を用意した上で、本人が考える機会をつくります。
「指示待ち」を減らす鍵は、答えを教えないことだけではない
代表が忙しくなると、つい最短で答えを渡したくなります。
「これやって」
「こう直して」
「今回はこれでいこう」
その方が、その一回の仕事は早く終わることもあります。
だけれども毎回それを繰り返せば、メンバー側も、
「わからなければ代表に聞けばいい」
という動きになりやすくなります。
一方、本人の中に判断基準が育っていけば、
「どうしたらいいですか?」
から、
「私はこうしたいと思っています」
さらに、
「私はこう考えたので、まずこれを試してみます」
という会話へ変わる可能性があります。
代表が欲しいのは、単に質問してこない人ではありません。
自分なりの判断を持った上で、必要な相談ができる人です。
本人の未来があると「創意工夫」が生まれる
かほさんの記録で特に重要なのが、
「じゃあもう一歩何かできないかって創意工夫をしようって動けたり」
という変化です。
単に「行動量が増えた」という話ではありません。
自分が行きたい未来があるから、目の前のやり方に対して、
「他に方法はない?」
「もう一歩できることは?」
と考え始めています。
これは、代表がメンバーに求めている「もっと自分で考えてほしい」の中身の一つです。
言われた仕事を速くこなすだけではなく、目的に向かって自分で方法を工夫する。
その考動を育てていきます。


目標はあるのに行動できないメンバーについてよくある質問
- Q1. 目標はあるのに行動できない部下は、やる気がないのでしょうか?
目標があるのに止まることだけで、やる気がないとは判断できません。目標が「半年後にこうなりたい」という到達点で止まり、今日の判断とつながっていない場合もあります。また、経験や情報が足りず、本人だけでは判断できないケースもあります。そこで「目標を覚えている?」だけではなく、「その未来を目指すあなたなら、今ここでどうしたい?」「何がわかれば自分で決められそう?」と確認します。なかのかほさんの記録でも、夢を持ったことだけではなく、止まりそうな場面で「楽しそうに夢を叶えるのが私なんじゃん」と未来へ戻ったことで、「じゃあもう一歩何かできないか」という創意工夫につながっています。
- Q2. 「どうしたらいいですか?」と聞かれた時、答えを教えない方がいいですか?
必要な場面では答えや知識を伝えることも大切です。特に、安全、品質、法令、顧客への重大な影響など、本人だけに判断を任せるべきではないこともあります。一方で、毎回すぐ答えを渡す前に「あなたはどう考えている?」「選択肢は何がある?」「その中ならどれを選ぶ?」と、一度本人の考えを確認することはできます。目的は質問を禁止することではありません。「何も考えず答えをもらう相談」から「自分なりに考えた上で必要な助言を求める相談」へ変えていくことです。自走する人も相談はします。違うのは、相談の前に自分の判断を持とうとしているかです。
- Q3. 「自分で考えて」と言っているのに、なぜメンバーは考えられないのでしょうか?
「自分で考える」ためには、判断基準が必要です。何を目指しているのか、何を優先するのか、どこまで自分で決めてよいのかが曖昧なままでは、本人は正解を探して代表へ確認しやすくなります。そのため、組織の目的だけではなく、本人がどんな人になりたいのか、その未来と今の仕事がどうつながっているのかまで共有します。その上で「その未来の自分だったらどうする?」と問いを返すことで、判断する練習ができます。単に答えを教えないことと、考えられる環境をつくることは別です。本人が考えるために必要な材料が揃っているかも一緒に研究します。
- Q4. 一度失敗すると止まってしまうメンバーには、どう関わればいいですか?
失敗した事実だけを振り返るのではなく、「本当はどこへ行きたかった?」「今回わかったことは何?」「その未来へ近づくために、次に変えられることは?」と未来と再接続します。失敗しない人をつくることではなく、失敗や停滞があった時に自分で戻る方法を増やしていく考え方です。かほさんも、迷いやネガティブな感情そのものがなくなったと話しているわけではありません。以前なら止まっていた場面で、自分を引っ張ってくれるフレーズへ戻り、「じゃあもう一歩何かできないか」と考えるようになったと振り返っています。止まった後の“戻り方”を一緒に研究することが重要です。
- Q5. 目標を毎日確認させれば、主体的に動けるようになりますか?
目標を見る回数を増やすだけで主体性が育つとは限りません。重要なのは、目標を見た後に「だから今日は何を選ぶ?」までつなげることです。例えば朝に目標を読むだけではなく、「今日、その未来に近づくために一つ何をする?」と決める。仕事で迷った時には「この未来を叶える私なら、どちらを選ぶ?」と考える。終業時には「今日はどの判断が未来につながった?」と振り返る。こうして未来と現在の行動を往復させることで、目標を判断材料として使う練習になります。目標を掲げることよりも、実際の選択にどう使ったかを記録する方が、育成材料を増やせます。
- Q6. 自分で判断させると、間違った方向へ進みそうで怖いです。
すべてを本人判断にする必要はありません。まず「ここまでは自分で決めてよい」「ここからは相談する」という範囲を明確にします。また、大きな判断をいきなり任せるのではなく、小さな判断から経験を増やす方法があります。「今回はAとBのどちらがいいと思う?理由は?」「まず小さく試すなら何をする?」と考えてもらい、結果を一緒に振り返ります。代表が確認することと、代表が最初からすべての答えを決めることは同じではありません。本人の判断→実践→結果→振り返りを繰り返すことで、その人がどこまで任せられるのかも具体的に見えるようになります。
- Q7. 自分で「もう一歩」を考えられる人が増えると、代表は何を言わなくてよくなりますか?
すぐにすべての指示が不要になるわけではありません。一方で、本人が目的や未来から考える習慣を持てるようになると、「次はこれをやって」「ここをもう少し考えて」「困ったら全部私に聞いて」という細かな指示を、少しずつ減らせる可能性があります。代わりにメンバーから「ここまでやりました。次はこうしたいです」「この目的ならAだと思います。ここだけ相談したいです」という会話が増えれば、代表は作業一つひとつの答えを出す役割から、方向性や判断基準を一緒に研究する役割へ移れます。目指すのは“代表に聞かない人”ではなく、“自分で考えた上で相談できる人”です。
動画でもう一度見る|止まりそうな時、自分で「もう一歩」をつくれるようになった記録
この記事の監修|吉野加容子


吉野加容子
YELL’s大学 学長。学術博士。脳科学・学習行動の専門家。
YELL’s大学では、知識や診断結果を知って終わるのではなく、自分で問いを持ち、考え、決め、動き、その経験を記録しながら次の考動へつなげることを大切にしています。
夢や目標についても、未来を描いて終わるのではなく、目の前で迷った時に何を選ぶのか、止まった時にどう戻るのかという日々の考動につなげて研究します。
記録についても、成功した成果だけを残すのではなく、途中で何を考え、どこで止まり、何を試し、何があったから次へ進めたのかを研究材料として残します。
完成した人の答えを見せるだけではなく、挑戦のプロセスから「次の人が再現できる問いや考動」を発見していくことも大切にしています。
また、記録することと公開することは同じではありません。まず本人が自分自身の経験を詳しく振り返り、その後、第三者の情報や公開する必要のない内容を除き、誰かの未来に役立つ部分へ編集していきます。
まとめ|夢は「いつか叶える目標」だけではなく、今日の一手を決める判断基準になる
メンバーが目標を持っている。
面談でも「こうなりたい」と話せる。
それでも実際の仕事で止まってしまうなら、次に研究したいのは、
「その未来を、今日の判断に使えているか?」
です。
なかのかほさんも、以前なら諦めたり、止まったりしていた場面がありました。
そこから、自分の夢へ戻ることで、
「じゃあもう一歩何かできないか」
と創意工夫し、自力で動き出せる場面が生まれました。
自走する人とは、何でも一人でできる人ではなく、止まった時に自分の判断基準へ戻り、「ここからどうする?」を考えられる人。
代表が毎回、
「次はこれ」
「ここを直して」
「こうすればいいよ」
と答えを出し続ける組織から、
「私はこうなりたい。だから、ここからこうしてみます」
と本人自身が未来から次の一手を考える組織へ。
目標を設定した“その後”まで育てることが、「もっと自分で考えて動いてほしい」を現実に変える次の一歩になります。































