「できていることは増えているのに、本人はずっと『まだ全然できていません』って言うんです。」
チームを育てていると、こんなメンバーはいませんか?
以前はできなかった仕事を任せられるようになった。
自分から発言することも増えた。
挑戦していることも、代表から見ればちゃんと増えている。
だから「成長したね」と伝える。
だけれども本人から返ってくるのは、
「いや、まだ全然です」
「○○さんはもっとできています」
「これくらい普通なので」
「結果が出ていないから、できたとは言えません」
という言葉。
代表から見ると、ちゃんと成長しているのに、本人だけが自分の成長を認められていない。
だからまた代表が、
「そんなことないよ」
「前よりできてるよ」
「もっと自信を持って」
と伝える。
このやり取りを、何度も繰り返していませんか?
代表に褒めてもらわなくても、本人自身が「私、ここまで進んだ」と自分の成長を発見できるようになるには、どうしたらいいのでしょうか?
「成果が出たか?」だけで成長を測ると、挑戦の途中にある小さな変化が見えなくなります。
大切なのは、最終結果だけではなく、昨日までできなかった判断・行動・考え方まで「成長」として発見できること。
それが、次の挑戦へ進む材料になります。
この記事では、小さな途中経過まで「できた」として記録し、525個の記録を残したまるやまあやかさんの実例をもとに、メンバーが代表から評価してもらうだけではなく、自分自身で成長を発見し、次の一歩へ進める人材を育てる方法を紹介します。
動画で見る|「できていない自分」ばかり見ていたあやかさんの変化
こんなお悩みはありませんか?
- 褒めても「いや、まだ全然です」と受け取らない
- 結果が出ないと、それまでの努力まで「できていない」にしてしまう
- 周りのできる人と比べて自信をなくす
- 本人には成長している実感がない
- 代表が毎回「できているよ」と伝えている
- 一つ失敗すると、それまでの成長まで忘れてしまう
- 自分で自分の成長を見つけられる人になってほしい
まるやまあやかとは?
まるやまあやか
母子分離不安・幼児期の繊細な子の心と脳を強くする専門家
「ママがいい」と離れられない繊細な年少の息子👦が
「やってみたい」と挑戦できるようになった
脳を育てる親子会話🦸
- 発達科学コミュニケーショントレーナー
- 「HSC・繊細な子の育て方がわかる!ペアレントトレーニング」
- 翼くんのママ
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なぜ、成長しているのに本人は「できていない」と感じるのか?
一つ考えたいのが、本人が何を「できた」と判定しているかです。
例えば、
- 契約が取れたら「できた」
- 企画が成功したら「できた」
- 目標数字を達成したら「できた」
- 人前でうまく話せたら「できた」
というように、最終成果だけを「できた」としていたらどうでしょうか。
その手前にある、
- 昨日より早く動き出した
- 怖かったけれど発言した
- 一人で考えてから相談した
- 失敗した後にもう一度やってみた
- 今までとは違う方法を試した
- 自分の感情に気づいた
という変化は、すべて見えなくなります。
最終成果だけを見る
↓
途中の成長が見えない
↓
「まだできていない」と感じる
↓
周りのできている人を見る
↓
「私は成長していない」と感じる
↓
自信をなくす
代表には変化が見えていても、本人の中に「自分の変化を発見する視点」がなければ、成長実感にはつながりにくいのです。
「褒める」だけではなく、自分で発見できる状態をつくる
もちろん、代表がメンバーの成長を見つけて伝えることには意味があります。
だけれども、ずっと代表だけが、
「前よりできてるよ」
「ちゃんと成長してるよ」
「そこもできたことだよ」
と教え続けなければならない状態では、本人の自己評価を代表が支え続けることになります。
育てたいのは、「褒めてもらえるから自信が持てる人」から、「自分で自分の変化を発見できる人」への変化です。

Before|「人から見てできたと言えるか」が基準になっていた
あやかさんはもともと、自分に自信がなく、できないことがあると「私には能力がない」「私には無理」と自分そのものを否定してしまうことがありました。
そして、自分の小さな変化を記録する時にも、
「人が見て、それってできたことじゃないよね?と思われるかもしれない」
という視点がありました。
つまり、何を「できた」とするかまで、周りの評価が基準になっていたのです。
転換点|最終成果ではなく「途中で何をしたか」まで記録した
そこであやかさんが実践していったのが、自分の「できた」を記録することでした。
しかも、記録したのは大きな成果だけではありません。
最終的に成功したか、失敗したか。
そこだけではなく、
- 途中でこんなことをした
- こんなふうに思った
- 自分では「今日これをやった」と思えた
という、小さな途中経過まで記録していきました。
その記録は、インタビュー時点で525個にまでなっていました。
インタビュー|525個の「できた」を記録したあやかさんは何を見ていた?
Q.どんな「できた」を記録していったんですか?
まるやまあやかさん:
「最終的な結果のできた。できなかったのできた。じゃなくて。
途中経過でもこんなことをしたとか、こんなふうにああ思っとかなんかもう本当。
小さなこと。」
Q.以前なら書けなかったこともありましたか?
まるやまあやかさん:
「別になんか人が見てそれってできたことじゃないよね?ってい今までだったら思われるだろうと思って書けなかったことも別にこう人がどう見たって関係ないなって思って。あ、自分が自分に。
こ、こんなこと今日やったって思ったってことを。
なんかもう本当にか?はい、書いていきました。」
Q.記録はいくつになりましたか?
まるやまあやかさん:
「あ525個。これのやつ。」
Q.その記録を続けて、どんな変化がありましたか?
まるやまあやかさん:
「はい、あの、もう結構この頃からあのほんと人と比較するっていうのが無くなったんです。
だから、あの自分の。
昨日と比べてできるようになったこととかを本当に見て。」
After|比較する相手が「周り」から「昨日の自分」へ変わった
この事例で注目したいのは、525個という数だけではありません。
より重要なのは、「何を成長として見るか」が変わっていったことです。
以前は周りを見て、
「あの人みたいに私は話せない」
「私はできない」
と、自分のできていない部分へ目が向いていました。
一方、記録を重ねる中では、
「昨日と比べて、何ができるようになった?」
という、自分自身の変化を見るようになっています。
これは、チーム育成でも大切な視点です。
この事例から女性代表が研究できること
メンバーが自信をなくすたびに、代表が「できているところ」を探して伝える。
それも一つの関わり方です。
さらに一歩進めるなら、本人自身が自分の変化を探す時間をつくってみます。
例えば、仕事の振り返りを、
「今週の成果は?」
だけで終わらせず、
「先週よりできるようになったことは?」
「結果は出なかったけれど、途中で変えられたことは?」
「前なら代表に聞いていたけれど、今回は自分で決められたことは?」
「怖かったけれど、やってみたことは?」
「今日の自分が『これはやった』と言えることは?」
まで聞いてみます。
すると、最終成果だけでは見えなかった本人の考動の変化が見つかりやすくなります。
「できた記録」は何を書けばいい?
大きな成果を探す必要はありません。
むしろ、結果になる前の小さな変化を拾います。
① 自分で考えた
すぐ代表に答えを聞かず、一度自分の考えを出せた。
② 自分で決めた
小さなことでも「私はこうする」と決められた。
③ 怖かったけれど動いた
自信がついてからではなく、不安がある状態でも一歩進んだ。
④ 失敗した後に戻ってきた
失敗しなかったことだけではなく、止まった後に再び動いたことも成長です。
⑤ 昨日までとは違う工夫をした
成果がまだ出ていなくても、考え方や方法を変えたなら、その変化を残します。
代表が「できた」を判定しすぎない
ここでもう一つ大切なのが、代表の基準だけで「それは成長」「それはまだ」と決めすぎないことです。
あやかさんも、以前なら、
「人が見たら、それってできたことじゃないと思われるかもしれない」
と感じて、小さな変化を書けなかったと振り返っています。
だからこそ、
「あなた自身は、今日の自分の何を“できた”と思う?」
と本人に問いを返します。
自分で発見する経験を積むことが、自分の成長を自分で研究できる状態につながっていきます。
人が育ったかは「代表が何を言わなくてよくなったか」にも表れる
この変化を、代表側から見てみます。
本人が自分で成長を見つけられない状態では、代表が毎回、
- 「ちゃんと成長してるよ」
- 「前よりできてるよ」
- 「もっと自信持って」
- 「そこもできたことだよ」
- 「○○さんと比べなくていいよ」
と伝え続けることになります。
一方、本人が自分の変化を発見できるようになれば、
「結果はまだだけれど、前よりここまでできるようになりました」
「昨日は止まったけれど、今日はここまで進めました」
「今回は自分でここまで考えてから相談に来ました」
「次はここを伸ばしてみたいです」
と、自分の現在地と次の一手を本人自身が言葉にできる可能性が生まれます。
代表が成長を教えるチームから、本人が自分の成長を発見できるチームへ。
そこまで育つと、「自信をつけさせる」という代表の仕事そのものが変わっていきます。

よくある質問|自分の成長を認められない部下の育て方
- Q1. 褒めても「まだ全然です」と言う部下にはどう接したらいいですか?
さらに褒め続けるだけではなく、「あなた自身は、前と比べて何が変わったと思う?」と本人へ問いを返してみます。代表が「成長した」と判定するだけでは、本人は代表の評価がないと自分の成長を確認できない状態になることがあります。「前ならできなかったけれど、今はできること」「結果にはならなかったけれど、途中で変えられたこと」「今回は自分で決められたこと」まで振り返ることで、本人自身が変化を発見する練習になります。目指すのは、褒めなくなることではなく、代表からの評価と本人自身の自己評価の両方を持てる状態です。
- Q2. 「できたこと」を記録するだけで意味がありますか?
単に「今日も頑張った」と書くだけではなく、自分の考動のどこが変わったのかを具体的に残すことがポイントです。あやかさんは、最終結果として成功したことだけではなく、途中で「こんなことをした」「こんなふうに思った」という小さなことまで記録していました。その結果、インタビューでは人との比較が減り、「昨日と比べてできるようになったこと」を見るようになったと話しています。記録の目的は無理に自分を肯定することではありません。自分では忘れてしまう小さな変化を、後から確認できる研究材料として残すことに意味があります。
- Q3. 小さなことまで「できた」にすると、基準が甘くなりませんか?
最終成果の基準を下げることと、途中の成長を記録することは別です。売上目標や納期、品質など、仕事として達成すべき基準はそのまま持ちながら、「そこへ向かう過程で何が変わったか」も記録します。例えば目標未達だったとしても、以前は代表に聞いていた判断を自分で行えたなら、それは次につながる変化です。「結果は未達だった」と「判断力は一歩育った」を同時に扱えます。結果だけを見て途中の成長を消してしまうのではなく、成果と成長を分けて確認することで、次に何を改善するかも具体的になります。
- Q4. 忙しいチームでも成長記録を続けるにはどうすればいいですか?
長い日報にする必要はありません。「今日、自分で決めたこと」「昨日よりできたこと」「怖かったけれどやったこと」など、問いを一つに絞って短く残す方法があります。重要なのは文章量より、継続して自分の変化を見る機会があることです。週次ミーティングでも「成果は?」だけではなく、「今週できるようになったことは?」を一問加えるだけなら導入しやすくなります。記録そのものを新しい負担にするのではなく、既存の振り返りや1on1の中に組み込み、本人が次の行動を考える材料として使える形にすることが大切です。
- Q5. 本人が「できたことなんてありません」と言ったらどうしますか?
大きな成果を探している可能性があるため、問いを小さくします。「前より早くできたことは?」「自分で判断したことは?」「一度止まった後に再開したことは?」「誰かに言われる前に動いたことは?」など、行動レベルまで具体化します。それでも見つからなければ、代表が見えている変化を一つ提示したうえで、「私はこう見えたけれど、あなた自身はどう思う?」と本人へ戻す方法もあります。代表がすべて答えるのではなく、本人が自分の経験を振り返って意味づける余白を残すことが、自分で成長を発見する練習になります。
- Q6. 人と比べること自体をやめさせた方がいいですか?
他者との比較を完全になくす必要はありません。他の人を見ることで「こんな方法もある」「ここを研究したい」と新しい可能性を発見できることもあります。問題になるのは、他者との差を見た瞬間に「だから私はダメ」と自分全体の否定へ変わってしまうことです。他者から学びながら、最後は「昨日の自分と比べて何が変わった?」「次に自分が伸ばすならどこ?」へ戻します。比較相手を競争相手として見るだけではなく、研究材料として見られるようになると、他者の成長を自分の行動につなげやすくなります。
- Q7. 成長記録は人材育成にどう活用できますか?
記録が蓄積すると、「この人は何ができるようになったか」だけではなく、「どんな時に動けたか」「何があると止まりやすいか」「どんな問いで自分から考え始めたか」という育成材料が見えやすくなります。本人にとっては自分の伸び方を知る材料になり、代表にとっては毎回感覚だけで育成するのではなく、実際の変化を見ながら次の役割や挑戦を考える材料になります。完成した成果だけではなく途中の考動を残しておくことで、本人の成長だけでなく、次の人を育てる時に何を問い、どんな経験をつくるかを考える材料にもできます。
動画で研究する|525個の「できた」の先で、あやかさんはどう変わった?
この記事の監修|吉野加容子

吉野加容子
YELL’s大学 学長。学術博士。脳科学・学習行動の専門家。
YELL’s大学では、知識や診断結果を知って終わるのではなく、自分で問いを持ち、考え、決め、動き、その経験を記録しながら次の考動へつなげることを大切にしています。
記録についても、成功した成果だけを残すのではなく、途中で何を考え、どこで止まり、何を試し、何があったから次へ進めたのかを研究材料として残します。
完成した人の答えを見せるだけではなく、挑戦のプロセスから「次の人が再現できる問いや考動」を発見していくことも大切にしています。
また、記録することと公開することは同じではありません。まず本人が自分自身の経験を詳しく振り返り、その後、第三者の情報や公開する必要のない内容を除き、誰かの未来に役立つ部分へ編集していきます。
まとめ|成果が出るまで「成長していない」にしない
最終成果はもちろん大切です。
だけれども、人が育つ途中には、結果になる前の変化があります。
自分で考えた。
自分で決めた。
怖かったけれどやった。
失敗しても戻ってきた。
昨日とは違う方法を試した。
あやかさんが記録したのも、最終結果だけではありませんでした。
「途中経過でもこんなことをした」
という小さな変化まで記録し、その数は525個になりました。
そして、その頃から人との比較が減り、「昨日と比べてできるようになったこと」を見るようになったと振り返っています。
代表が「あなたは成長している」と教え続けるだけではなく、本人が「私はここまで変わった」と発見できる人材へ。
自分の変化を自分で見つけられるようになれば、次に必要なのは「もっと自信を持って」という言葉ではなくなります。
「じゃあ、次は何を伸ばしたい?」
そんな未来の会話へ進めるチームを育てていくことができます。





























