「仕事は丁寧なんです。だけれども、慎重すぎて新しいことを任せるたびに止まってしまいます。」
確認も丁寧。
ミスをしないようによく考える。
任せた仕事にも真面目に取り組んでくれる。
だから、本当はもう少し大きな仕事も任せたい。
だけれども、新しい役割を渡そうとすると、
「ちゃんとできるか不安です」
「もう少し準備してからでもいいですか?」
「失敗したらどうしよう」
「私より○○さんの方が向いていると思います」
と止まってしまう。
代表としては、
「もう十分できるのに」
「もっと自信を持ってほしい」
「そんなに考え込まず、まずやってみればいいのに」
と思う。
そして気づけば、新しい仕事を任せるたびに代表が安心させ、細かく確認し、最後まで伴走している。
この「慎重すぎる」「怖がり」という特徴は、本当に直すべき弱みなのでしょうか?
「怖がらない人」に変えようとする前に、その人が“怖いからこそやっていること”を研究してみます。
慎重だから、事前に調べる。
怖いから、早めに準備する。
不安だから、何度も練習する。
弱みに見えていた特徴の裏側に、本人も気づいていない仕事の強みが隠れていることがあります。
この記事では、「怖い」を自分の弱みだと思っていたまるやまあやかさんが、その怖さが事前準備やロールプレイを重ねる力につながっていると気づき、強みとして使えるようになった実例をもとに、慎重なメンバーの育て方を紹介します。
動画で見る|弱みだと思っていた「怖さ」が強みに変わった
こんなお悩みはありませんか?
- 慎重すぎて、新しい仕事をなかなか引き受けてくれない
- 失敗を怖がり、何度も代表へ確認してくる
- 準備に時間をかけすぎているように見える
- 能力はあるのに「私には無理です」と言ってしまう
- 代表が毎回「大丈夫」と安心させている
- 本人の強みを聞いても「私にはありません」と言われる
- 慎重さを残したまま、もっと仕事を任せられる人になってほしい
まるやまあやかとは?
まるやまあやか
母子分離不安・幼児期の繊細な子の心と脳を強くする専門家
「ママがいい」と離れられない繊細な年少の息子👦が
「やってみたい」と挑戦できるようになった
脳を育てる親子会話🦸
- 発達科学コミュニケーショントレーナー
- 「HSC・繊細な子の育て方がわかる!ペアレントトレーニング」
- 翼くんのママ
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「慎重すぎるから動けない」と決めると、強みを見落とす
慎重なメンバーを見ていると、代表には「止まっている部分」が目につきます。
決断が遅い。
不安が多い。
練習しすぎる。
何度も確認する。
すると、
「もっと大胆にならないと」
「考えすぎをやめないと」
という育成になりやすくなります。
ここで一度、見方を変えてみます。
「失敗が怖い」
↓
早めに準備する
↓
何度も練習する
↓
想定される質問を考える
↓
本番までに改善する
↓
安心して役割を担える
同じ「怖い」という特徴でも、その後に本人が何をしているかまで見れば、違う評価ができます。
強みは「本人が得意だと思っていること」だけではない
「あなたの強みは?」
と聞いても、本人から答えが出ないことがあります。
それは、強みがないからとは限りません。
本人にとって当たり前すぎて、強みとして認識されていない可能性があります。
あやかさんにとっても、怖さはもともと「弱み」でした。
そのため、自分から、
「怖いからこそ私は準備できる。これは強みです」
と認識していたわけではありません。
強みを探す時は、「何が得意?」だけではなく、「その人が無意識に何度もやっていること」を見る。

Before|あやかさん自身も「怖さ」は弱みだと思っていた
あやかさんは、初めてのことや自信がないことに対して、怖さを感じて一歩立ち止まることがありました。
できないことがあると、人と比べて、
「やっぱり自分はできない」
と止まってしまう。
そして本人自身も、「怖い」という特徴を弱みだと思っていました。
転換点|「怖い時、実際には何をしている?」を記録から見つけた
変化のきっかけの一つになったのが、自分の記録を第三者と一緒に研究したことでした。
そこで見えてきたのは、
怖いから止まっているだけではない、という事実でした。
- 怖いからこそ、人より前もって段取りを考えている
- 怖いからこそ、何度もロールプレイしている
- 自分が安心できるところまで準備している
つまり、本人が「弱み」だと思っていた怖さは、すでに準備する考動へ変換されていたのです。
インタビュー|「怖い」が準備力だと気づくまで
Q.「怖さは強みに変えられる」と気づいたきっかけは?
まるやまあやかさん:
「私が発表した記録を見たりして、こう。
怖い。
けれども、怖いからこそ、すごく人より前もって。
段取り立てて準備をするとか。
怖いからこそ人の倍以上なんかロープレするとか。」
Q.それまで、自分ではどう捉えていたんですか?
まるやまあやかさん:
「そうですね。もうあの。
もう弱みだと思ってたので。」
Q.強みだと知って、何に気づきましたか?
まるやまあやかさん:
「怖いけど、あの準備するとか。ああ、自分が安心できるようにいろいろやってることであ。
怖さが強みに変えられてるんだっていうのはね。気づきました。」
Q.実際には、どんな準備をしていたんですか?
まるやまあやかさん:
「ロールプレイングも怖いんですよね。
できるかなとか。でもそれをひたすらまずはじ一人で練習するっていうのはもちろん。
あの子供たち相手にロールプレイングをしたりもしてたんですよ。」
「チーム内でもあの何回もロールプレイングしてあもらったりとか。あ、そんなあの準備、自分が安心できるまで準備っていうのはすごくしていました。」
After|怖がりを消さずに「準備できる自分」へ
この事例で重要なのは、あやかさんが突然「怖がらない人」になったことではありません。
怖さはある。
だけれども、
怖い
↓
だから準備する
↓
練習する
↓
フィードバックを受ける
↓
修正する
↓
挑戦する
という、自分なりの進み方を発見していきました。
しかも、練習相手はチームだけではありませんでした。
一人でも練習する。
子どもたちにも聞いてもらう。
夫にも付き合ってもらう。
チームでも何度もロールプレイする。
子どもたちの反応から「普段の自分の話し方の方が伝わる」と気づくなど、練習を改善材料にもしていました。
弱みをなくしたのではなく、弱みだと思っていた特徴の“使い方”が変わった。
この事例から女性代表が研究できること
メンバーの特徴を見た時、すぐに、
「直した方がいいところ」
と判断する前に、その特徴の後に起きている行動まで見てみます。
慎重だからこそ、何を確認している?
怖いからこそ、どんな準備をしている?
心配性だからこそ、誰より先に気づいていることは?
完璧にしたいからこそ、どこまで品質を上げている?
人より時間をかけている部分には、どんな工夫がある?
「弱み」と呼んでいたものの裏側に、本人特有の仕事の仕方が見つかるかもしれません。
「準備しすぎ」と「準備力」は何が違う?
ここは分けて考える必要があります。
準備に時間をかけていることを、すべて強みとして肯定すればいいわけではありません。
準備が実践につながっているかを見ます。
準備で止まる状態
不安になる
↓
準備する
↓
まだ不安
↓
さらに準備する
↓
実践しない
準備を強みに使う状態
不安になる
↓
必要な準備を決める
↓
練習する
↓
フィードバックを受ける
↓
修正する
↓
実践する
違いは、準備量そのものではなく、準備が挑戦へつながっているかです。
慎重なメンバーを「任せられる人」へ育てる5つの問い
①「何が一番怖い?」
まず不安を否定せず、本人が何を心配しているのか具体化します。
②「怖いからこそ、もうやっていることは?」
調査、確認、練習、段取りなど、すでに起きている行動を発見します。
③「その中で、仕事に活かせるものは?」
単なる心配ではなく、品質や準備力につながっている部分を本人と一緒に見つけます。
④「どこまで準備したら実践する?」
準備だけで終わらないように、挑戦へ移るラインを決めます。
⑤「やってみて何を変える?」
一回で完璧を目指すのではなく、実践した後の改善までを一つの挑戦として扱います。
代表が「もっと自信持って」と言わなくてもいいチームへ
慎重なメンバーを見るたびに代表が、
- 「大丈夫だよ」
- 「そんなに心配しなくていいよ」
- 「もっと自信持って」
- 「考えすぎだよ」
- 「もう準備できてるからやってみよう」
と言い続ける。
そこから、本人自身が、
「私は怖くなると準備をたくさんするタイプなんだ」
「今回はここまでロープレしてからやってみます」
「不安なので、この3点を確認してから進めます」
「一度やってみて、ここを改善します」
と、自分の特徴を理解したうえで、自分なりの準備と挑戦を決められる状態へ。
そうなれば代表は、本人の不安を毎回取り除く人ではなく、その人の強みが成果につながる使い方を一緒に研究する人へ役割を変えていけます。

よくある質問|慎重すぎる部下・失敗を怖がるメンバーの育て方
- Q1. 慎重すぎる部下には「もっと早く動いて」と言った方がいいですか?
スピードが必要な場面では期限や判断基準を伝える必要があります。一方、「慎重だから遅い」とだけ捉えると、その人が慎重だからこそ行っている確認や準備まで見落とす可能性があります。まず「何を心配している?」「そのために何を確認している?」「どこまで準備したら実践できる?」と分けて聞いてみます。必要な準備と、安心するためだけに増えている準備を整理できれば、本人の丁寧さを残したまま行動へ移しやすくなります。慎重さを消すことより、慎重さを成果につながる形で使えるようにすることがポイントです。
- Q2. 失敗を怖がる性格は、仕事では弱みではないのでしょうか?
怖さが強く、何も行動できない状態であれば仕事上の課題になることはあります。ただし「怖い」という特徴だけで弱みと決める必要はありません。あやかさんの場合、怖さがあるからこそ、人より前もって段取りを考えたり、何度もロールプレイをしたり、自分が安心できるまで準備したりしていました。大切なのは「怖がるかどうか」だけではなく、「怖い時、その人は何をしているか」まで見ることです。その行動が品質、準備、改善、リスク発見などにつながっているなら、仕事で活かせる特徴として研究できます。
- Q3. 準備に時間をかけすぎる部下にはどうしたらいいですか?
「準備を減らして」と伝える前に、本人が何を不安に感じ、何のために準備しているかを確認します。そのうえで「今回の仕事で絶対に必要な準備は何?」「どこまでできたら一度実践する?」と、実践へ移るラインを一緒に決めます。準備が強みになるのは、最終的に実践や改善につながる時です。不安になるたびに準備項目だけが増え、いつまでも実践しないのであれば、準備の目的を見直す必要があります。期限・最低条件・実践後の改善までをセットにすると、慎重さを残しながら前へ進みやすくなります。
- Q4. 本人も気づいていない強みは、どうやって見つければいいですか?
「あなたの強みは?」と直接聞くだけではなく、実際の行動記録から探します。「困った時に毎回していることは?」「人より自然にやっていることは?」「周りからよく頼まれることは?」「本人は弱みだと思っているけれど、結果的に役立っていることは?」などを見ます。あやかさんも、もともとは怖さを弱みだと考えていました。ところが、記録を見ると、その怖さが前もって段取りすることやロールプレイを重ねる行動につながっていました。本人の自己評価だけではなく、具体的な行動の反復から強みを発見することができます。
- Q5. ロールプレイは人材育成でどう使えばいいですか?
本番を完全に再現する試験としてではなく、「やってみて、自分の改善点を発見する場」として使う方法があります。例えば、新しい相談対応やファシリテーションを任せる前に一度実践し、「どこで詰まった?」「自分らしく話せた部分は?」「相手の反応が変わったところは?」を振り返ります。あやかさんも、一人での練習だけではなく、子どもや夫、チームを相手にロールプレイを重ねていました。子どもの反応から普段の自分の話し方の方が伝わると気づくなど、練習をフィードバックの場としても使っています。
- Q6. 部下の弱みを強みに言い換えればいいということですか?
単純にポジティブな言葉へ言い換えるだけではありません。「心配性だからリスク管理が得意」「完璧主義だから品質が高い」と決めつけるのではなく、実際にその人がどんな行動をしているかを確認します。あやかさんの場合も、「怖さ=強み」と抽象的に変換したのではなく、怖いから前もって段取りする、何度もロールプレイする、自分が安心できるまで準備するといった具体的な行動がありました。強みとして扱うなら、本人の記録や実際の仕事から「この特徴が、どんな考動や成果につながっているか」を確かめることが重要です。
- Q7. 慎重なメンバーに仕事を任せられるようになった目安は何ですか?
「不安がなくなったか」だけを目安にする必要はありません。不安があっても、自分で必要な準備を整理し、期限を決め、実践し、振り返って改善できるかを見ます。例えば代表が「大丈夫」と言わなくても、「今回はここが不安なので、この3点を準備してやってみます」「一度実践してからここを改善します」と本人から言えるようになれば、自分の特徴を扱いながら仕事を進め始めている一つのサインです。代表が不安を解消し続ける状態から、本人が自分で準備と次の一手を決められる状態へ変わっているかを確認します。
動画で研究する|「弱みをなくす」から「強みとして使う」へ
この記事の監修|吉野加容子

吉野加容子
YELL’s大学 学長。学術博士。脳科学・学習行動の専門家。
YELL’s大学では、知識や診断結果を知って終わるのではなく、自分で問いを持ち、考え、決め、動き、その経験を記録しながら次の考動へつなげることを大切にしています。
また、人の特徴を「強み」「弱み」と言葉だけで決めるのではなく、その人が実際にどんな場面で、何を考え、どんな考動をしているのかを記録から研究します。
本人にとって当たり前になっている考動の中から、その人特有の伸び方や力の使い方を発見していくことも大切にしています。
記録することと公開することは同じではありません。まず本人が自分自身の経験を詳しく振り返り、その後、第三者の情報や公開する必要のない内容を除き、誰かの未来に役立つ部分へ編集していきます。
まとめ|直そうとしていた特徴の中に、任せられる理由があるかもしれない
慎重すぎる。
怖がり。
心配性。
準備に時間がかかる。
代表から見ると、直したくなる特徴かもしれません。
けれども、あやかさんの事例では、本人が弱みだと思っていた「怖さ」が、
- 前もって段取りをする
- 一人でも練習する
- 何度もロールプレイする
- 周りからフィードバックをもらう
- 自分が安心できるまで準備する
という考動につながっていました。
「この弱みをどう直す?」の前に、「この特徴があるからこそ、この人は何をしている?」を研究する。
そこから、本人も気づいていなかった強みが見つかることがあります。
そして本人自身が、
「私は慎重だからダメ」
ではなく、
「私は怖くなる。だからこそ、準備して挑戦できる」
と自分の特徴を使えるようになれば、代表が毎回安心させなくても、自分なりの方法で仕事を前へ進められる可能性が広がります。





























