ー コミュニティ主宰者からのご相談 ー
「スクールを長くやってきて、自分なりの教え方やお客様との関わり方、判断の仕方はかなり蓄積されていると思います。
そろそろ次のリーダーや講師にも引き継ぎたいのですが、『具体的に何を大事にしてるんですか?』『どうやって判断してるんですか?』と聞かれるとうまく説明できません。
結局、私がやるのが一番早くて、私にしかできない状態から抜けられません。
自分の想いやメソッドを、人に教えられる形にするにはどうしたらいいですか?」

ー YELL’s大学 学長 吉野加容子より ー
長く実践してきた人ほど、できることが「当たり前」になり、説明しにくくなることがあります。
完成したメソッドを一気に書こうとせず、「私は何を見て、何を問い、何を基準に決めた?」を一つの実例から分解してください。
あなたの経験を、次の人も使える知恵へ変えていきましょう。
「私のやり方を、次の人にも渡したい。」
そう思って説明しようとした途端、言葉が出てこない。
そんなことはありませんか?
お客様の話を聞けば、どこで止まっているのか何となく分かる。
スタッフの相談を聞けば、次に何を聞けばいいか分かる。
企画を見れば、どこが弱いか分かる。
トラブルが起きれば、何を優先すべきか分かる。
自分では自然にできています。
けれども、スタッフから、
「何を見てそう判断したんですか?」
と聞かれると、
「うーん……感覚かな。」
となってしまう。
その結果、
自分ならできる。
スタッフには説明できない。
任せるのが怖い。
結局また自分がやる。
という状態が続きます。
この時に必要なのは、いきなり立派なマニュアルをつくることではありません。
自分でも無意識になっている「判断の途中」を発見することです。
特に「人へ任せたはずなのに、結局判断が自分へ戻ってくる」という場合は、任せた判断が全部自分に戻ってくるのはなぜ?女性主宰者が「自分しか判断できないチーム」を変える5ステップもあわせて確認すると、どの判断基準がまだ代表の中に残っているのかを整理しやすくなります。
こんなお悩みはありませんか?
- 自分のノウハウを次の講師へ引き継ぎたい。
- 「どうやっているんですか?」と聞かれるとうまく説明できない。
- マニュアルをつくっても、本当に大事な部分が伝わらない。
- 自分とスタッフでは、お客様を見るポイントが違う。
- 教えた手順通りにはできても、想定外の場面で止まってしまう。
- 自分の「感覚」をどう言語化すればいいか分からない。
- 次世代リーダーへ自分の判断基準を残したい。
- 自分が現場を離れた後も、大切にしてきたものを残したい。
- メソッドを自分だけの職人技で終わらせたくない。
- 経験が人から人へ受け継がれるチームをつくりたい。
この記事でわかること
- なぜ長くやっている人ほど自分のやり方を説明しにくくなるのか。
- 手順だけではメソッドを引き継げない理由。
- 「感覚」を判断基準へ変える方法。
- 自分の問い・見る場所・判断・順番を発見する方法。
- 成功事例だけでなく失敗事例も残す意味。
- 自分の言葉をそのまま覚えさせない方がいい理由。
- 「自分にしかできない」をチームの知恵へ変える方法。
先にこの記事の結論
想いやメソッドを引き継ぐ時、残すべきなのは「手順」だけではありません。
本当に次の人へ渡したいのは、
何を見るのか。
何を問いかけるのか。
何を大切にするのか。
何と比較するのか。
どのタイミングで動くのか。
何を基準に決めるのか。
うまくいかなかった時に何を見直すのか。
という、結果へたどり着くまでの思考と判断のプロセスです。
YELL’s大学では、情報を集めるだけでなく、比較・分類・言語化し、自分の言葉へ置き換えることで「使える知恵」へ変えていくことを大切にしています。
組織の経験継承も同じです。
あなたの経験を、そのまま渡すのではなく、「次の人も使える知恵」へ変換してから渡す。
そこから始めます。
この「代表の頭の中を、代表がいなくても使える形に残す」という考え方は、3年後、自分がいなくても回るチームにするには?今日から始めたい「代表の頭の中」をチームに残す方法にもつながります。


長くやっている人ほど「できる理由」が見えなくなる
初めてやった頃を思い出してみてください。
最初から今と同じように判断できたでしょうか?
きっと、
失敗した。
迷った。
人に教えてもらった。
やり直した。
違う方法を試した。
お客様の反応を見た。
という経験を重ねてきたはずです。
その積み重ねの結果、今では一瞬で判断できます。
つまり、今のあなたの「感覚」の中には、過去の大量の経験が圧縮されています。
だから、次の人へ、
「こういう時はこうするんだよ。」
と答えだけを渡しても、あなたがそこへたどり着くまでに使った経験までは渡りません。
教えたいのに言葉にできない時は、知識がないのではなく、知識が自分の中で当たり前になりすぎている可能性があります。
スタッフが代表と同じところへ「気づいてくれない」と感じている場合には、「なんでここに気づかないの?」が増えたら?スタッフの“見る力”を育てる5ステップで、代表とスタッフが見ている情報の違いから整理してみてください。
メソッドを引き継げない時、最初から「メソッド」を書こうとしない
「自分のメソッドを言語化しよう」とすると、急に難しくなります。
理念は?
原則は?
ステップは?
再現性は?
体系は?
と考え始めるからです。
そこで、もっと小さくします。
「昨日、自分がうまくできた一件」
だけを取り出します。
たとえば、スタッフから相談された一件。
まず事実を書きます。
相手は何を相談してきた?
最初にどこへ違和感を持った?
最初に何を質問した?
なぜその質問をした?
何を聞いて判断を変えた?
最後に何を本人へ決めてもらった?
ここまで分解します。
すると、ただ「相談に乗った」と思っていた行動の中に、あなた独自の順番や判断が見つかってきます。
「何をした?」より「なぜそれをした?」を残す
引き継ぎ資料をつくると、
①最初にヒアリングする
②悩みを整理する
③提案する
④フォローする
のような手順になりがちです。
もちろん手順も必要です。
けれども、想定外の相談が来た瞬間、手順だけでは止まることがあります。
なぜなら、次の人が知りたいのは、
「どの手順を選べばいいかを、どう判断するのか?」
だからです。
そこで手順の横に、
なぜこの質問をする?
何を確認したい?
どんな時は順番を変える?
何が見えたら次へ進む?
何が見えたら一度止まる?
を残します。
「何をするか」だけではなく「なぜそうするか」を残す。
それによって、マニュアルが考えるための材料へ変わります。
手順どおりならできるけれど、想定外の質問になると代表へ確認が戻ってしまう場合は、想定外の質問ですぐ代表に聞く講師をどう育てる?自分で答えを探せる講師をつくる5ステップもつながるテーマです。
メソッドは「成功例」と「違う例」を比べると見えてくる
自分のやり方が言語化できない時、とても役立つのが比較です。
たとえば、同じように悩んでいる二人へ、違う質問をしたとします。
その時に、
「なぜAさんにはこの質問で、Bさんには違う質問をした?」
と考えます。
すると、
Aさんは答えを持っているけれど自信がなかった。
Bさんはそもそも判断材料を持っていなかった。
など、自分が無意識に見分けているポイントが見つかるかもしれません。
YELL’s大学でも、情報を集めるだけで終わらず、二つの情報を比較し「何がどう違う?」と問いかけることを研究の習慣として扱っています。
同じように、
うまくいったケースと、うまくいかなかったケース。
早く変化した人と、時間がかかった人。
この声かけが響いた場面と、響かなかった場面。
を比べます。
違いの中に、あなたが普段使っている判断基準が隠れています。
「私はこう思う」を、次の人が使える問いへ変える
想いを引き継ごうとすると、
「もっとお客様を大切にしてほしい。」
「もっと相手を見てほしい。」
「結果だけじゃなくて、その人の未来を考えてほしい。」
といった言葉になることがあります。
大切な想いです。
一方で、次の人が日常で使うには、もう一段具体化します。
たとえば、
「この人は、今何に一番困っている?」
「本人は、本当はどうなりたいと言っている?」
「今すぐ答えを渡すより、本人が考えた方がいいことは何?」
という問いへ変えます。
すると「相手を大切にする」という抽象的な想いが、現場で使える行動になります。
理念をそのまま覚えてもらうのではなく、理念から生まれる問いを残す。
これは、想いを次の世代へ引き継ぐ方法の一つです。
会社やスクールの理念そのものがスタッフにとって「代表の言葉」のままになっている場合は、理念を何度伝えてもスタッフが動かないのはなぜ?「会社の未来」を自分ごとに変える5ステップから、本人の未来との接続も見直してみてください。
自分の言葉を「正解」にしすぎない
言語化できるようになると、次に起きやすいのが、
「この通りにやってね。」
という引き継ぎです。
これでは、あなたのメソッドを再現することはできても、本人自身が理解して使っているとは限りません。
YELL’s大学では、理解を深めるために、学んだことを自分の言葉へ置き換えることも大切にしています。
引き継ぎでも、
「今の話を、あなたの言葉で説明すると?」
と聞きます。
さらに、
「自分のお客様だったら、どう使う?」
と置き換えてもらいます。
代表の言葉と全く同じでなくて構いません。
本質を理解した上で、自分の言葉と自分の強みを使って再現できること。
そこを目指します。
引き継ぎたいものを「7つ」に分解してみる
自分のメソッドが大きすぎて言葉にできない時は、次の7つに分けてみてください。
① 見るもの
最初にどんな情報・言葉・表情・数字を見る?
② 問うこと
最初に何を質問する?なぜその問いを使う?
③ 比べるもの
何と何を比較して違いを見つける?
④ 大切にするもの
迷った時、何を一番守る?
⑤ 判断する境界
どこまで進める?どこで止まる?どこで相談する?
⑥ うまくいかなかった時に見るもの
失敗した時、何を振り返る?
⑦ 次の人へ残したい問い
自分がいなくても、この問いだけは持っていてほしいものは?
これを一気に完成させる必要はありません。
一つの案件が終わるたびに一項目ずつ記録すれば、少しずつ「自分の中にある知恵」が見える形になっていきます。
成功だけではなく「迷った記録」を残す
メソッド化しようとすると、完成された成功事例だけを残したくなります。
けれども、次のリーダーに役立つのは、迷った途中の記録でもあります。
最初はAだと思った。
この情報を見てBかもしれないと思った。
本人へ聞いたら違うことが分かった。
そこで判断を変えた。
この途中が残っていれば、次の人は、
「正解を当てる方法」ではなく、「正解が分からない時に考える方法」
を学べます。
YELL’sでも、考動の途中や変化を記録し、次の発見へつなげることを大切にしています。
完成形だけではなく、どう考えてそこへたどり着いたのかを残す。
それが、次世代へ経験を渡す記録になります。
「教える人」を一人つくると、メソッドの穴が見える
言語化したものが本当に伝わるか確かめるには、誰か一人に教えてもらう方法があります。
代表が説明するのではなく、
一度学んだスタッフが、次のスタッフへ説明する。
その様子を見ます。
そこで、
説明できない部分。
代表へ確認が戻る部分。
人によって解釈が分かれる部分。
事例がないと伝わらない部分。
が見えてきます。
そこが、まだ代表の頭の中に残っている知恵です。
「教えられたか」ではなく、「教わった人が次の人へ教えられるか」で確認する。
ここまでできるようになると、自分一人の経験から、チームで循環する知恵へ変わり始めます。
これは、単に「仕事ができる人」を増やすだけではなく、「人を育てる人」をつくる次世代リーダー育成にもつながります。
実際に、成果を出す人から「次の人へ経験を渡す人」へ役割を広げていくヒントは、売上をつくれる人は育った。それでも次のリーダーが育たない理由|いたがきひまりさんの人材育成 vol.4でも紹介しています。
「自分にしかできない」は強みであり、次の研究テーマでもある
自分にしかできないことがあるのは、悪いことではありません。
そこには、長い時間をかけて育ててきた強みがあります。
けれども、組織を次の段階へ進めたい時には、
「なぜ私はこれができるんだろう?」
と自分自身を研究する必要があります。
どこを見ている?
何を聞いている?
何を比べている?
何を大切にしている?
どこで判断している?
一つずつ発見します。
自分の強みを「私にしかできない」で終わらせず、次の人が育つ材料へ変える。
それが、プレイヤーから人を育てるリーダーへ進む時の大切な仕事です。
もし「自分がやった方が早い」が続き、メソッドを渡す前に仕事そのものを取り返してしまっているなら、「私がやった方が早い」をやめるには?仕事を巻き取らずスタッフを育てる5ステップもあわせて見直してみてください。
今日から始めるなら「昨日の一件」を分解する
メソッドを完成させようとしなくて構いません。
昨日、自分がうまく対応できた仕事を一件だけ選びます。
そして、
最初に何を見た?
何が気になった?
何を質問した?
なぜそれを聞いた?
何を基準に決めた?
違う状況だったら何を変える?
次の人へ一つだけ伝えるなら何?
を書いてみてください。
これを繰り返すと、一件、一件はバラバラに見えていた経験の中から、何度も登場する判断基準や問いが見えてきます。
それが、あなたのメソッドの原型です。
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- 「私がやった方が早い」をやめるには?仕事を巻き取らずスタッフを育てる5ステップ
YELL’sが考える「経験を次の人へ渡す人材育成」
YELL’sでは、人が成長するゴールを「自分ができるようになること」だけに置いていません。
学び、考え、決断し、動き、経験を記録する。
そして、その経験を自分だけのものにせず、次の人へ渡していく。
知る → 描く → 役割を持つ → 小さく動く → 戻る → 記録する → 教える → 人を育てる。
という成長の循環を大切にしています。
代表がすべての答えを持ち続けるのではなく、経験を言葉と記録へ変え、その知恵を受け取った人が、さらに次の人へ渡していく。
人から人へ知恵が受け継がれる状態が、「代表がいなくても育ち続けるチーム」へつながります。
まとめ|あなたのメソッドは「完成してから」渡すものではない
自分の想いやメソッドを次の人へ引き継ぎたい。
けれども、うまく言葉にできない。
そんな時に、いきなり「私のメソッドとは何か?」を完成させようとしなくて構いません。
まず、一つの実践へ戻ります。
「私は、なぜこの時こうした?」
と問いかけます。
そして、
何を見た?
何を聞いた?
何と比べた?
何を大切にした?
何を基準に決めた?
うまくいかなかった時は何を変えた?
を一つずつ記録します。
複数のケースを比較すると、何度も使っている問いや判断基準が見えてきます。
それを次の人へ教え、本人自身の言葉へ置き換えてもらい、実践してもらう。
さらに、その人が次の人へ教える。
「自分にしかできない」は、そこで終わりではありません。自分でも気づいていなかった知恵を発見し、次の人へ渡す研究の始まりです。
今日、あなたが昨日うまくできた一件を、一つだけ分解してみてください。
そこに、未来のチームへ残したいメソッドの種があるかもしれません。


HEROコード診断の開発・監修
HEROコード診断は、YELL’s大学 学長 吉野加容子が開発・監修しています。


HEROコード診断では、一人ひとりが考動しやすくなるアクセルと、止まりやすくなるブレーキを見ながら、その人がどんな役割や関わり方で力を発揮しやすいのかを考えていきます。
チームづくりでも、代表の答えをそのまま覚える人を増やすのではなく、代表やリーダーが積み重ねてきた経験から判断基準・問い・考動を発見し、次の人が自分自身の言葉で理解し、実践できる状態を育てていきます。
自分ができるようになるだけではなく、経験を記録し、教え、次の人の考動を育てられる人へ。人から人へ知恵が循環するチームづくりを目指します。
監修:吉野加容子(学術博士/脳科学・学習行動の専門家/YELL’s大学学長)
YELL’s大学 学長・吉野加容子について詳しく見る


想いやメソッドを次の人へ引き継ぐFAQ
- Q1. 自分のメソッドを言語化したいのですが、何から書けばいいか分かりません。
-
最初から「自分のメソッド」を体系的に書こうとしなくても構いません。まず、直近で自分がうまく対応できた一件を選んでください。たとえばお客様相談、スタッフ育成、企画判断などです。そして、「最初に何を見た?」「何が気になった?」「最初に何を質問した?」「なぜその質問をした?」「どの情報を聞いて判断を変えた?」「最後に何を決めた?」と順番に書き出します。重要なのは、結果だけでなく判断の途中を残すことです。一件では自分独自のメソッドなのか偶然なのか分からなくても、三件、五件と比べると、何度も使っている問い、見る場所、優先順位、判断基準が見えてきます。それがメソッドの原型になります。大きな理念から書き始めるより、「昨日私はなぜこれができた?」という具体的な実践から逆算した方が、自分でも気づいていなかった知恵を発見しやすくなります。
- Q2. マニュアルはあるのに、スタッフが自分と同じように対応できません。なぜですか?
-
マニュアルに「何をするか」は書かれていても、「なぜそうするか」「どんな時は変えるか」まで含まれていない可能性があります。通常ケースでは手順通りに対応できても、少し想定外のことが起きると、どの手順を選べばいいのか分からなくなります。そこで、既存のマニュアルへ「この質問は何を確認するため?」「どんな状態なら次へ進む?」「どんな場合は一度止まる?」「何を一番守る?」「どこから代表へ相談する?」という判断基準を加えてみてください。マニュアルの目的は代表の答えを暗記することではなく、代表がいない場面でも、自分で状況を見て考えるための材料を渡すことです。
- Q3. 自分の想いまで言語化すると、スタッフへ押しつけることになりませんか?
-
想いを言葉にすることと、同じ考え方をスタッフへ強制することは別です。「私はこれを大切にしている」と明確にした後に、「あなたはどう感じる?」「この中で共感するところは?」「あなたなら自分の仕事でどう表す?」と本人の言葉を聞きます。また、「お客様を大切にする」のような抽象的な想いは、「この人は今何に困っている?」「この人が次に迷いそうなことは何?」など、現場で使える問いへ変えることができます。理念をコピーさせるのではなく、理念を自分の役割へ置き換えられる状態をつくることが大切です。
- Q4. 次のリーダーへ本当に引き継げたか、どう確認すればいいですか?
-
代表の説明を覚えているかだけではなく、「代表がいない場面で使えるか」と「その人が次の人へ説明できるか」を見てください。まず似たケースを渡し、「何を見る?」「最初に何を聞く?」「何を基準に判断する?」と本人に考えてもらいます。次に実践後、「なぜそうした?」「違うケースなら何を変える?」と振り返ります。さらに、その人から別のスタッフへ教えてもらいます。説明できない部分、代表へ確認が戻る部分、解釈が分かれる部分があれば、そこにはまだ代表の頭の中だけにある知恵が残っています。「本人が理解して使える」「自分の言葉で説明できる」「次の人の実践を支えられる」の三段階で確認してみてください。
- Q5. 次の講師が自分と違うやり方をしたら、メソッドが崩れませんか?
-
まず、「本質として守る部分」と「本人が工夫してよい部分」を分けます。お客様を見る時に大切にする基準、絶対に確認すること、守るべき約束などは共通化します。一方で、質問の言葉遣い、説明の仕方、場のつくり方などは、その人の強みに合わせて変えられる場合があります。代表と全く同じ動きを再現することだけを目標にすると、次の人は「正解を当てる人」になりやすくなります。大切なのは、共通の判断基準を理解した上で、なぜそのやり方を選んだのか本人が説明できることです。メソッドの本質と表現方法を分けることで、守る部分を残しながら次の人自身の強みも活かせます。
- Q6. メソッドを引き継ぐ時、成功事例だけ残せば十分ですか?
-
成功事例だけではなく、迷った事例やうまくいかなかった事例も残すことをおすすめします。完成した成功例だけを見ると、次の人には「このケースならこの答え」という結果だけが残りやすくなります。一方で、「最初はAだと思ったけれど、この情報を見て判断を変えた」「ここでうまくいかなかったので、次はこの質問を加えた」という途中が残っていると、正解が分からない状況でどう考えるかを学べます。特に想定外の場面へ対応できる人を育てたい時には、迷い・比較・修正の記録が重要な教材になります。
- Q7. 今日から自分の暗黙知を残すなら、一つだけ何をすればいいですか?
-
今日一つだけ始めるなら、今日か昨日、自分が「うまくできた」と思う仕事を一件選び、「私はなぜこれができた?」というタイトルでメモをつくってください。そして、最初に見たもの、気づいた違和感、相手へ聞いたこと、途中で考えたこと、判断を変えた情報、最後に大切にした基準を書き出します。次に「別の人だったら何を変える?」「うまくいかなかったケースとの違いは?」を追加します。最後に「この経験から次の人へ一つだけ問いを残すなら?」を書いてください。この記録を増やしていくと、何度も登場する見方・問い・判断基準が見えてきます。それがあなたの中で無意識になっていた知恵です。
「私にしかできないまま終わらせたくない」と思っている主宰者へ
最初からメソッドを完成させなくて構いません。
まず今日、自分へ一つだけ聞いてみてください。
「今日、私は何を見て、何を考えたから、この判断ができた?」
そこに、あなた自身もまだ言葉にできていない知恵が隠れているかもしれません。
その知恵を記録し、比較し、言葉にし、次の人へ渡し、その人自身の言葉でもう一度使ってもらう。
そうやって、一人の経験はチームの知恵へ変わっていきます。
YELL’sでは、HEROコード診断を通して一人ひとりの違いや強みを理解しながら、学び、考え、決断し、動いた経験を次の人へ渡せる人とチームづくりを研究しています。


























