ー コミュニティ主宰者からのご相談 ー
「毎週チーム会議をしているのですが、私が『何か意見ある?』『どう思う?』と聞いても、ほとんど誰も話してくれません。
少し待っても沈黙が続くので、結局いつも私が答えを出して、そのまま決まっていきます。
スタッフにはもっと自分の意見を持ってほしいし、次のリーダー候補には会社のことを一緒に考えてほしいです。
けれど、無理に発言させる会議にもしたくありません。
どうしたら、みんなが自分の考えを安心して出せる会議になりますか?」

ー YELL’s大学 学長 吉野加容子より ー
意見が出ないからといって、考えていないとは限りません。
「何か意見ある?」では大きすぎる問いを、観察・違和感・提案へ小さく分けてみてください。
会議の中に考える時間と、正解でなくても話せる余白をつくることで、発言は少しずつ育てられます。
「みんなは、どう思う?」
そう聞いた瞬間、会議が静かになる。
一人が資料を見る。
誰かがうなずく。
けれど、誰も話さない。
数秒待つ。
気まずくなって、代表が口を開きます。
「じゃあ、私はこう思うんだけど……」
すると、
「私もそう思います」
「賛成です」
と返ってくる。
結局、また代表の意見で会議が進む。
これが続くと、
「なんでみんな、自分の意見がないんだろう?」
と思いたくなります。
けれども、ここで一度確認したいのは、
「意見がない」のか、「意見を出せるところまで考える設計になっていない」のか。
という違いです。
こんなお悩みはありませんか?
- 「何か意見ある?」と聞いても誰も話さない。
- 会議ではいつも同じ数人しか発言しない。
- 代表が話すと、みんなすぐ賛成する。
- 会議後のチャットでは意見が出るのに、会議中は静か。
- 「間違ったことを言いたくない」という空気を感じる。
- スタッフが自分の意見を持っているのか分からない。
- 結局いつも代表が答えを出している。
- 次のリーダー候補には、もっと経営やチームについて考えてほしい。
- 会議を報告会ではなく、考える場にしたい。
- 全員が無理なく意見を出せるチームをつくりたい。
この記事でわかること
- 会議で意見が出なくなる主な理由。
- 「何か意見ある?」が答えにくい理由。
- 発言の前に考える時間をつくる方法。
- 代表が先に答えを言わない方がいい場面。
- 発言しやすい問いのつくり方。
- 少数意見や違う意見を会議の材料にする方法。
- 会議を「報告する場」から「考える場」へ変える方法。
先にこの記事の結論
スタッフから意見が出ない時、最初に変えたいのは「発言量」ではありません。
考えるまでの順番です。
いきなり、
「どう思う?」
と聞くのではなく、
何が起きている?
どこが気になる?
いつもと何が違う?
このままだと何が起きそう?
自分なら何を変える?
というように、問いを小さくします。
さらに、話す前に一人で考える時間をつくる。
代表はすぐ答えを言わない。
出た意見をすぐ採点しない。
「正解を言う会議」から、「自分の見方を持ち寄る会議」へ変える。
それが、発言できる人を増やす最初の一歩です。


「何か意見ある?」は、実はかなり難しい質問
会議でよく使われる、
「何か意見ありますか?」
という問い。
一見すると自由に答えられる、良い質問に見えます。
けれども、答える側からすると考える範囲が広すぎることがあります。
何について?
良いところ?
悪いところ?
改善案?
感想?
経営判断?
今言うべきこと?
が分かりません。
しかも代表や経験豊富な人が同席していれば、
「ちゃんとした意見を言わなきゃ。」
という負荷も加わります。
だから最初は、もっと答えやすくします。
「この数字を見て、気になるところはどこ?」
「先週と比べて変わったところは?」
「お客様目線なら、どこで迷いそう?」
「今、一番止まっている場所はどこだと思う?」
「一つだけ変えるなら何?」
問いが具体的になるだけで、考え始める場所ができます。
発言の前に「一人で考える時間」を置いてみる
会議で、
「どう思う?」
と聞かれて、その場ですぐ答えられる人もいます。
一方で、一度考えてから言葉にしたい人もいます。
そんな人がいる会議で、早く話せる人から発言すると、
「もう同じことを言われた。」
「これ以上言うことないかも。」
と感じることがあります。
そこで、質問を出した後に、
「まず1分だけ、それぞれメモしてみよう。」
と時間を取ります。
話す前に全員が自分の考えをつくる。
その後にシェアします。
たったこれだけでも、
「会議で一番早く答えた人の意見に乗る」
状態を減らせます。
代表が一番最初に話すと、答え合わせの会議になりやすい
代表は経験があるため、問題を見つけるのも早く、解決案も浮かびやすい。
だから会議でも、
「私はこうした方がいいと思うんだけど、みんなはどう?」
と話すことがあります。
するとスタッフ側では、
「代表はこれが正解だと思っているんだ。」
という情報が先に入ります。
そこから違う意見を出すには、少し勇気が必要になります。
だから、育成したいテーマでは順番を変えます。
代表が考えを話す前に、
「まず、みんなから見えていることを聞かせて。」
とします。
全員の意見が出てから、代表も一人の参加者として考えを伝えます。
代表の答えを当てる時間ではなく、それぞれの視点を集める時間にする。
会議の空気は、発言の順番でも変わります。
意見が出た瞬間に「それは違う」と直していない?
せっかくスタッフが意見を出した。
けれども、経験のある代表からすると、
「いや、それは難しいと思う。」
とすぐ分かることがあります。
その場で修正したくなります。
けれども、毎回最初の意見をすぐ評価されると、スタッフは少しずつ、
「正しいことが分かるまで話さない方がいい。」
と学ぶことがあります。
そこで最初は、
「そう考えた理由をもう少し聞かせて。」
と返します。
さらに、
何を見てそう思った?
誰にとって良さそう?
実現するとしたら何が必要?
心配な点はある?
と一緒に考えます。
最終的に採用されない意見でも構いません。
意見を出すことと、意見が採用されることを分ける。
ここが重要です。
「意見」ではなく「気づいたこと」から始めてもいい
会議で自分の意見を言うことに慣れていない人へ、最初から提案を求めなくても構いません。
もっと小さなアウトプットから始められます。
たとえば、
LEVEL1|気づいたこと
「この数字が先週と違うと思いました」
LEVEL2|違和感
「このままだと少し心配です」
LEVEL3|仮説
「○○が原因かもしれません」
LEVEL4|提案
「私はこう変えてみたいです」
という順番です。
「提案できる人」と「何も考えていない人」の二択にしない。
気づきを言える → 違和感を言える → 仮説を持てる → 提案できる。
発言にも育つ段階があります。
会議を「報告の場」だけにすると、考える力は見えにくい
会議の時間が、
先週やったこと。
数字の確認。
代表からの連絡。
次のタスク確認。
だけで終わっていることがあります。
もちろん必要な時間です。
けれども、それだけではスタッフが「考えて話す」経験は増えません。
そこで、会議の中へ短くてもいいので、
「一緒に考えるテーマ」
を一つ入れます。
たとえば、
「最近のお客様の変化から気になることは?」
「今月、一つ改善するとしたら?」
「新人さんがもっと動きやすくなるには?」
「今、代表に集まりすぎている仕事は?」
などです。
YELL’sでは、学んだことを聞くだけではなく、自分に置き換えて考え、その後何をしていくのかまで考動へつなげることを大切にしています。fileciteturn28file8
会議も同じです。
情報を受け取る時間だけではなく、自分に置き換えて考える時間をつくる。
その経験を増やします。
発言しやすい会議に変える「6つの設計」
① 問いを小さくする
「どう思う?」ではなく、「どこが気になる?」「一つ変えるなら?」まで具体化します。
② 話す前に書く時間をつくる
30秒〜1分でも、一人で考えてから話す時間をつくります。
③ 代表は最後に話す
スタッフが代表の答えを当てる会議にならないよう、先にメンバーの視点を集めます。
④ 最初の意見を採点しない
すぐ「正しい・違う」を決めず、「なぜそう思った?」と考えの途中を聞きます。
⑤ 気づきだけでも発言として扱う
完成された提案だけを求めず、違和感・疑問・観察も会議の材料にします。
⑥ 最後に「自分は何をする?」まで決める
話して終わらず、一人ひとりが次の小さな考動へつなげます。
発言が少ない人を「会議に向いていない」と決めない
会議ですぐ発言できる人が、必ずしも一番考えている人とは限りません。
話しながら考える人もいます。
書いてから考える人もいます。
誰かの意見を聞いてから、自分の考えが整理される人もいます。
会議後に気づく人もいます。
だから、発言量だけで次世代リーダーを判断しないことも大切です。
たとえば、
事前に問いを送る。
会議前にメモしてもらう。
チャットでも意見を受け取る。
少人数で話してから全体へ出す。
など、考えを表現する入口を複数つくれます。
全員を「即答できる人」に育てるのではなく、それぞれが自分の考えを持ち寄れる方法をつくる。
その方がチーム全体の視点を集めやすくなります。
違う意見が出た時こそ、会議が育ち始めている
発言しやすい場をつくると、当然、代表と違う意見も出てきます。
その時に、
「みんなが発言するようになったら、逆にまとまらなくなった。」
と感じるかもしれません。
けれども、全員がすぐ代表へ賛成していた状態から、違う見方が表に出たとも考えられます。
ここから必要なのは、全員の意見を採用することではありません。
「何を基準に決めるか」
をチームで共有することです。
誰にとって良い?
私たちが大切にしたい未来と合っている?
今の優先順位は何?
どんなリスクがある?
まず小さく試せる?
と比較します。
意見が違うことを問題にするのではなく、違う意見から判断基準を磨く。
そこまでできると、会議そのものが人材育成の時間になります。
会議の終わりに「今日、自分で決めたこと」を聞く
会議でたくさん話せても、代表が最後にすべて指示を出して終わると、
「意見は言うけれど、決めるのは代表」
という構造は残ります。
そこで最後に、
今日の話から何に気づいた?
自分の役割では何を変える?
今週何を一つ試す?
次の会議で何を持ち寄る?
を一人ずつ決めます。
発言 → 決断 → 実践 → 次の会議で振り返る。
この循環ができると、会議が単なる情報共有ではなく、一人ひとりが考動を育てる場へ変わります。
次の会議でそのまま使える問い
観察する問い
- 「この情報を見て、まず何に気づいた?」
- 「先週と違うところは?」
- 「今、一番気になるところは?」
考える問い
- 「このままだと何が起きそう?」
- 「原因として考えられることは?」
- 「お客様側から見たらどう見える?」
決める問い
- 「一つ変えるなら何?」
- 「あなたなら最初に何をする?」
- 「小さく試すならどこから?」
振り返る問い
- 「やってみて何が分かった?」
- 「予想と違ったことは?」
- 「次は何を変える?」
関連記事|代表だけが考えるチームから卒業する
YELL’sが考える「会議で人を育てる」ということ
YELL’sでは、人が自分から動かない時に、すぐ「主体性がない」と決めつけるのではなく、考動が止まっている場所を小さく見ていきます。
会議で発言できない時も同じです。
何を聞かれているか分からない。
考える時間が足りない。
正解を言わなければと思っている。
代表と違うことを言ってよいか分からない。
自分の役割とテーマがつながっていない。
そんな止まり方がないかを見ます。
その上で、問いを小さくし、自分で考える時間をつくり、言葉にし、決め、実践し、振り返る。
会議を「代表の答えを聞く場所」から、「一人ひとりが自分の頭で考える場所」へ変える。
日常の会議そのものを、人が育つ舞台として使っていきます。
まとめ|発言を増やす前に「考えられる会議」にする
会議で、
「何か意見ある?」
と聞いても沈黙が続く。
そんな時に、
「もっと積極的に発言して。」
と求める前に、会議の設計を見てみてください。
問いが大きすぎないか。
考える時間はあるか。
代表が先に答えを言っていないか。
意見をすぐ正解・不正解で分けていないか。
気づきや違和感も発言として扱っているか。
そして最後に、自分で次の一歩を決める時間があるか。
次の会議では、「何か意見ある?」の代わりに一つだけ聞いてみてください。
「まず、この状況を見て何に気づいた?」
答えが出たら、
「なんでそう思った?」
ともう一つ聞きます。
発言できる人を探すのではなく、気づきから自分の考えを育てられる会議をつくる。
その積み重ねが、代表だけではなく、メンバーも一緒にチームの未来を考えられる状態へつながります。


この記事の監修


監修:吉野加容子(学術博士/脳科学・学習行動の専門家/YELL’s大学学長)


会議でスタッフから意見が出ない時のFAQ
- Q1. 会議で発言しないスタッフは、そもそも何も考えていないのでしょうか?
-
発言していないことだけで、「何も考えていない」と判断するのは早いです。会議中にすぐ言葉にできない人もいますし、代表や経験豊富なメンバーがいる前では「間違ったことを言いたくない」と考える人もいます。また、「どう思う?」という問いが大きすぎて、どこから考えればいいか分からないこともあります。まずは「この資料を見て気になったところは?」「先週と違う部分は?」「お客様だったらどこで困りそう?」のように、考える場所を小さくしてみてください。さらに、話す前に30秒から1分ほど一人でメモする時間を取ります。それでも出にくい場合は、会議後のチャットや少人数の対話など、別の表現方法も試せます。見たいのは発言量だけではなく、本人の中にどんな気づきや考えがあるかです。会議で早く話せる人だけを「主体性がある人」と決めず、その人が考えを表に出しやすい方法まで含めて場を設計することが大切です。
- Q2. 沈黙が怖くて、つい代表の私が答えを言ってしまいます。待った方がいいですか?
-
毎回長く沈黙を待つ必要はありませんが、育成したいテーマでは「考える余白」を意識的につくる価値があります。代表は経験があるため、スタッフより早く問題や答えを見つけやすく、数秒の沈黙でも「もう答えが出ないのかな」と感じます。一方、スタッフ側では、その数秒で質問の意味を理解し、自分の経験と結びつけ、言葉を選んでいるかもしれません。沈黙をただ待つのが難しければ、「1分だけ各自で書いてみよう」と時間そのものを会議の進行へ組み込みます。そして全員が書いた後に順番に聞きます。代表が最初に話す場合も、「私はこう思うけどどう?」ではなく、まずメンバーの考えを集めてから最後に自分の考えを出してみてください。緊急判断では代表がすぐ決める必要もあります。すべての会議で待つのではなく、自分で考える力を育てたいテーマだけ、代表が答えを出すまでの時間を少し後ろへずらすことから始めてみてください。
- Q3. 意見を出してもらっても、現実的ではない案ばかり出てきたらどうしますか?
-
出てきた案をすべて採用する必要はありません。大切なのは、「意見を出したこと」と「その意見を採用すること」を分けることです。現実的ではない案が出た時に、すぐ「それは無理」と終わらせるのではなく、「その案で一番叶えたいことは何?」「実現するには何が必要?」「今の条件で難しい部分はどこ?」「もっと小さく試すなら?」と一緒に分解します。すると、最初の案そのものは採用されなくても、その背景にある気づきや顧客視点が別の改善案へつながることがあります。また、チームで「何を基準に決めるか」を共有する機会にもなります。予算、時間、お客様への価値、組織の方針、優先順位などを比較しながら決めます。最初から完成された提案だけを求めると、経験の少ないスタッフは発言しにくくなります。未完成な意見を、会議の中で一緒に磨ける状態をつくることで、「正解を持ってきてから話す」から「考える途中も持ち寄る」へ変えていけます。
- Q4. 会議でよく話す人と、ほとんど話さない人の差はどう扱えばいいですか?
-
発言量を同じにそろえる必要はありません。話しながら考える人もいれば、一度整理してから話したい人もいるためです。ただ、早く話せる人だけで会議の方向が決まる状態は避けたいところです。方法の一つは、質問を出した後に全員が一度メモし、その後一人ずつ短く話すことです。別の方法として、二人組や三人組で先に話してから全体へ共有することもできます。会議前にテーマを送っておき、事前に考えてきてもらう方法もあります。また、発言が少ない人へ「もっと積極的に」と言う前に、その人が会議外ではどんな形で考えを出しているかも見てください。文章では深い意見を出せる、個別では違和感に気づける、実践後の振り返りが得意など、別の強みがあるかもしれません。会議のゴールは全員を同じ話し方にすることではありません。一人ひとりが自分なりの方法で考えを持ち、その視点をチームが受け取れる状態をつくることが大切です。
- Q5. 次の会議から一つだけ変えるなら、何をするのがおすすめですか?
-
一つだけなら、「何か意見ある?」をやめて、具体的な問いを一つ出し、その後1分間全員で書く時間をつくってみてください。たとえば売上やお客様の反応を振り返る会議なら、「この一週間で、いつもと違うと感じたことを一つ書いてください」とします。全員が書いたら、一人ずつ短く話してもらいます。この時、代表は最後に話します。スタッフから意見が出たら、最初に正解・不正解を判断せず、「何を見てそう思った?」と一つ質問します。そして会議の最後に、「今日の話から、自分が今週一つやることは?」を決めてもらいます。これだけで、会議の流れが「代表が説明する→質問する→沈黙→代表が答える」から、「全員が見る→考える→言葉にする→理由を話す→自分で一歩決める」へ変わります。いきなり全員を積極的な発言者にするのではなく、毎回一つ自分の考えをつくる経験を積み重ねるところから始めてみてください。
「結局、会議でも私ばかり考えている」と感じている主宰者へ
次の会議で、全員へたくさん発言してもらおうとしなくて構いません。
一つだけ変えてみてください。
「何か意見ある?」ではなく、「この状況を見て、まず何に気づいた?」と聞く。
そして、1分だけ全員で考える。
そこから、一人ひとりが自分の視点を持ち寄る会議が始まります。
YELL’sでは、日常の場の中で、自分で気づき、考え、決め、動き、振り返る考動を増やしながら、人から人へ育つチームづくりを研究しています。

































