ー 「自分ではできるのに、人に教えようとすると説明できません」という女性起業家からのご相談 ー
「自分では普通にできることなのに、人に教えようとすると急に説明できなくなります。
最近、講座の受講生やチームのメンバーから、
『どうやってるんですか?』
『その考え方を教えてください』
と聞かれることが増えてきました。
聞いてもらえること自体は嬉しいです。
だけれども、いざ説明しようとすると、
『うーん、普通にやってるだけなんだけど……』
『なんとなく、こっちだと思って……』
『経験してたら分かるようになるよ』
みたいな答えになってしまいます。
自分の中では感覚的に分かるんです。
できてもいます。
だけれども、
“なぜできるのか”を自分でも説明できません。
だから、誰かに教えるとなると、
『私なんかが教えていいのかな』とも思います。
自分ができることと、
人に教えられることって、やっぱり別なのでしょうか?
これから講師を育てたり、
自分の方法を講座にしたり、
チームに仕事を任せたりしていくなら、
私の頭の中にある“なんとなく”を、
どうやったら人にも伝えられる形にできるのでしょうか?」

ー YELL’s大学からの回答 ー
自分ではできる。
だけれども、人に説明できない。
そんな時、
「私は教えるのが苦手なんだ」
と決める必要はありません。
むしろ研究したいのは、
「私は、何を考えてこれをやっているんだろう?」
という、自分自身の実践です。
得意なことほど、
本人にとっては当たり前になっています。
だから、
自分ではわざわざ説明しません。
ところが、誰かに伝えようとすると、
「私はここを見ていたんだ」
「ここでこう判断していたんだ」
「これは無意識にやっていたんだ」
と、自分自身の実践が見えてくることがあります。
つまり、
教えることは、自分がすでに持っている強みを研究する機会にもなるということです。
「教えられるようになってから教える」のではなく、伝えてみることで自分の強みが言葉になっていく。
自分では当たり前にやっていることほど、本人には強みとして見えにくいものです。
実践する → 伝える → 相手の反応を受け取る → 自分の強みを知る → もう一度実践する。
この循環が、「自分だけができる」を「誰かに渡せる強み」へ育てるヒントになります。
この記事では、なかのかほさんがHEROアカデミー第1期では自分の実践を十分にアウトプットできなかった状態から、第2期で積極的に「これやってきました」と伝え、教えることで自分自身の理解を深め、仲間から返ってきた視点によって自分の強みと次の一手まで発見していった実際の事例を紹介します。
「自分ではできるけれど、人に教えられない」と感じている人が、自分の感覚を誰かに渡せる知恵へ変えていく方法を研究していきます。
動画で見る|「教える」ことで、自分の強みまで見えてきた
こんなお悩みはありませんか?
- 自分ではできるのに、人に説明できない
- 「どうやっているんですか?」と聞かれると困る
- 感覚でやっていることが多く、言葉にならない
- 自分の得意なことを講座やサービスにしたい
- 講師やスタッフへ仕事を任せたいけれど、教え方がわからない
- 自分の強みが何なのか、自分ではよくわからない
- 「こんなの誰でもできる」と思ってしまう
- 自分の経験を誰かの役に立つ形へ変えたい
この記事でわかること
- 得意なことほど、人に説明しにくい理由
- 「自分ができる」と「人に教えられる」の違い
- 教えることで自分自身の理解が深まる理由
- 他者からの反応が、自分の強み発見につながる理由
- 感覚でやっていることを言葉にするための問い
- 自分だけの経験を、誰かに渡せる知恵へ変える方法
なかのかほとは?
なかのかほ ⌇ 子どもの「好き」を得意に育てる
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得意なことほど「説明する必要がない」から言葉になっていない
自分にとって難しいことを覚えた時は、過程を覚えていることがあります。
「最初はここでつまずいた」
「こうやったらできた」
「この順番で覚えた」
と説明できます。
一方で、得意なことは違います。
本人にとっては自然にやっているため、
「なぜ、私はこれができるんだろう?」
と考える必要がありません。
だから、誰かに聞かれた時に初めて、
「あれ?どうやってるんだろう?」
となることがあります。
言葉にできない
=強みがない
ではありません。
まだ自分の実践を研究していないだけかもしれません。


Before|実践していても「私のやってきたことなんて大したことない」
なかのかほさんも、HEROアカデミー第1期ですでに実践をしていました。
何もしていなかったわけではありません。
それでも、その経験を人へ伝えることには壁がありました。
かほさんは当時について、
「一期って実践してても言えなかったっていうことが多かったんですよね。私のやってきたことなんて大したことないだろうみたいな気持ちがあって。」
と振り返っています。
ここで重要なのは、
実践が足りなかったから話せなかったわけではないということです。
実践している。
経験もある。
だけれども、
「これは誰かに伝える価値がある」
と自分では捉えられていませんでした。
転換点|「これやってきました」と伝える側へ
HEROアカデミー第2期では、かほさんのアウトプットが変わります。
第1期では言えなかった自分の実践を、
「これやってきました」
と積極的に出すようになりました。
そして、ここからが今回の重要なポイントです。
アウトプットしたことで、相手が学べただけではありませんでした。
教えたかほさん自身にも変化が起きています。
インタビュー|教えたら、自分の理解と強みが深まった
Q. 第1期では、自分の実践を伝えられていましたか?
なかのかほさん:
「そうですね。これプラスとまた次の壁と二面あると思っていて、一つプラスで言うとやっぱり一機って実践してても言えなかったっていうことが多かったんですよね。私のやってきたことなんて大したことないだろうみたいな気持ちがあって。」
Q. 第2期では何が変わりましたか?
なかのかほさん:
「積極的に想像クラスの中でもアウトプットができなかったんだけれども、二期では積極的にこれやってきました。ってアウトプットができたので、それこそやっぱり教える。」
Q. 教えることで、かほさん自身にはどんな変化がありましたか?
なかのかほさん:
「自分の中でも理解が深まっていったし、伝えたことによって、想像クラスの仲間から自分だったらこうするとか、これがかほさん自分じゃなかった観点だなと思っとかって言ってもらうと。」
「自分の強みの部分とこれから磨いていきたい。また次の一手っていうのが見えてきて、またより一層実践が加速していったかなっていうのが。あります。」
After|「教える」は、自分の答えを完成させてからするものではなかった
この記録を並べると、変化はこう見えます。
第1期
実践する
↓
「私のやってきたことなんて大したことない」
↓
自分の中に置いておく
第2期
実践する
↓
「これやってきました」とアウトプットする
↓
人に伝える
↓
自分自身の理解が深まる
↓
仲間から別の観点が返ってくる
↓
自分の強みが見える
↓
磨きたい部分と次の一手が見える
↓
さらに実践が加速する
ここから見えてくるのは、
「理解できたから教えられた」だけではないということです。
伝えることで、自分自身の理解も深まっていました。
なぜ、人に伝えると自分の強みが見えてくるのか?
一人で実践している時、自分の基準しかありません。
だから、
「これは普通」
「誰でもやっている」
「大したことではない」
と思いやすくなります。
ところが、誰かに伝えると反応が返ってきます。
「私はそこを見ていなかった」
「私だったらこうする」
「その考え方が、あなたらしい」
そうした違いが見えた時、初めて、
「ここは、私だから自然にやっていたことなんだ」
と気づけることがあります。
自分の強みは、自分一人で考えている時より、人との違いが見えた時に輪郭が出ることがあります。
「自分ではできる」を人に渡せる形へ変える4つの問い
1|私は、最初に何を見ている?
仕事を始める時、相談を受けた時、企画を考える時。
自分が最初に確認しているものを探します。
数字なのか。
相手の表情なのか。
ゴールなのか。
違和感なのか。
「最初にどこを見る?」は、自分の思考を見つける問いになります。
2|どこで「こっち」と判断している?
得意な人ほど、判断が速くなっています。
そのため、本人には判断した感覚すらないことがあります。
そこで、結果だけではなく、
「AではなくBを選んだ時、何を見ていた?」
まで戻ります。
3|初心者だった頃の私は、どこで困っていた?
今は当たり前にできることも、最初からできたとは限りません。
過去の自分が、
- 何を勘違いしていたか
- どこで止まったか
- 何を変えたら進めたか
- 何を知っていたら早かったか
を振り返ります。
過去の自分が困った場所は、次の人に教えるポイントになる可能性があります。
4|伝えた相手は、どこに反応した?
教えた後は、相手だけを評価するのではなく、相手の反応から自分も研究します。
「そこが分かりやすかった」
「そんな見方をしたことがなかった」
「その一言で動けた」
もしそんな反応があったなら、そこに自分の強みが隠れているかもしれません。
教えることを「答えを渡すこと」だけにしない
「教える」と聞くと、
先生が正解を知っていて、相手へ答えを渡す。
そんなイメージを持つことがあります。
けれども、今回のかほさんの記録では、伝えた後に仲間から別の観点が返ってきています。
つまり、
実践する
↓
伝える
↓
反応をもらう
↓
自分を知る
↓
次の実践を決める
という循環が生まれています。
「教える側=完成した人」ではありません。
伝えながら、自分自身も学び続ける人というあり方もできます。
代表者視点|エースの「できる」を本人だけの能力で終わらせない
この事例は、チームを持つ代表にも置き換えられます。
チームの中に、こんな人はいないでしょうか。
- なぜか成約率が高い
- お客様との関係づくりがうまい
- 企画をつくるのが速い
- トラブル対応がうまい
- 新人から相談されやすい
- 発信すると反応が取れる
本人に聞くと、
「普通にやっているだけです」
と言うかもしれません。
そこで終わると、その力はその人だけの能力のままです。
代表が研究したいのは、
- 何を見ている?
- 何を基準に判断している?
- 何を先にやっている?
- 何をあえてやっていない?
- どんな言葉を使っている?
という、結果の手前にある考動です。
エース本人にも自分の実践を言葉にしてもらい、次の人へ渡してみる。
そうすることで、チームにある強みを本人だけの感覚で終わらせず、次の人材育成へつなげられる可能性があります。
そして「教える人」本人も、さらに伸びる
ここが今回の事例で特に大切なところです。
教えることは、単に
「できる人 → できない人」
へ知識を移すだけではありません。
かほさんは、伝えることで自分自身の理解が深まりました。
さらに仲間から自分とは違う観点をもらったことで、
- 自分の強み
- これから磨きたい部分
- 次の一手
が見えてきたと話しています。
そして、実践がさらに加速した。
だから代表がエースに「次の人へ教えてみて」と役割を渡すことは、次の人を育てるだけではありません。
今いるエース自身を、さらに成長させる機会にもなり得ます。


「自分ではできるのに、人に教えられない」FAQ
- Q1. 自分ではできるのに、人に教えられないのはなぜですか?
できていないからとは限りません。得意なことほど無意識に行っているため、「どこを見たのか」「なぜその判断をしたのか」「どんな順番で考えたのか」を自分自身が言語化していない場合があります。結果だけを見るのではなく、実際に仕事をしている途中で自分が見ているもの、考えていること、判断した場面を記録してみてください。また、誰かに説明してみることで「ここは説明が必要なんだ」「これは私には当たり前だった」と初めて気づくこともあります。教えられないと決める前に、自分の実践を研究するところから始められます。
- Q2. 感覚でやっていることは、どうやって言語化すればいいですか?
最初からきれいなノウハウにまとめようとせず、具体的な一場面を選びます。「この時、最初に何を見た?」「AとBのどちらにするか、何で決めた?」「何をやらなかった?」「相手のどんな反応を見て次を変えた?」と、行動の途中へ戻っていきます。特に「なんとなく」「普通に」「感覚で」という言葉が出た場所は研究ポイントです。その“なんとなく”の直前に、本人だけが見ている情報や判断基準が隠れていることがあります。一回ですべて言葉にするのではなく、実践、記録、説明、相手の質問を繰り返しながら輪郭をつくります。
- Q3. 人に教えるほどの実績がない気がします。それでも伝えていいですか?
何を誰に伝えるのかを小さく考えてみてください。すべてを知る専門家として教えることと、自分がすでに経験した一歩を次の人へ共有することは同じではありません。なかのかほさんも、第1期では「私のやってきたことなんて大したことないだろう」と感じていました。一方、第2期では自分が実践したことを「これやってきました」とアウトプットしています。自分が経験していないことまで答える必要はありません。「私はここまでやって、こうだった」と事実を渡すことから始められます。その反応を受け取りながら、自分自身の理解も更新していきます。
- Q4. 教えた相手が自分と同じようにできなかったら、教え方が悪いのでしょうか?
一度伝えて同じ結果にならなかったからといって、すぐに教え方の良し悪しだけで判断する必要はありません。相手がどこで止まったのかを研究します。説明の意味が分からなかったのか、判断基準が不足していたのか、経験がまだないのか、本人なりのやり方が必要なのか。教える側にとっても、相手が止まった場所は「自分が無意識に飛ばしていた工程」を発見する材料になります。答えをもう一度説明するだけではなく、「どこまでは分かった?」「どこで迷った?」「あなたはどう考えた?」と確認すると、自分の方法をより具体的に言語化する材料が増えていきます。
- Q5. 自分の強みは、自分一人で考えた方が見つかりませんか?
一人で振り返ることも大切です。一方で、自分にとって当たり前すぎるものは、自分だけでは違いに気づきにくいことがあります。なかのかほさんの記録では、自分の実践を伝えたことで仲間から別の観点が返り、それによって「自分の強みの部分」と「これから磨いていきたい次の一手」が見え、実践がさらに加速したと語られています。誰かに伝えた時に「そこまで考えているんだ」「その見方はなかった」と言われた部分は、自分では普通だと思っていた強みかもしれません。自己分析だけでなく、実践に対する他者の反応も研究材料にします。
- Q6. チームのエースが感覚派で、やり方を説明してくれません。どうしたらいいですか?
「やり方をマニュアルにして」といきなり求めるより、実際の一場面を一緒に振り返ります。「このお客様との会話で、最初に何を感じた?」「この提案に変えたのはなぜ?」「ここで連絡した理由は?」と、具体的な行動から問いを置きます。本人が「普通です」「なんとなくです」と答えたら、そこで終わらず、その直前の情報や判断をさらに聞きます。そして、見つかったものを一度別の人が実践してみます。そこで出た質問や違いを再びエースへ返すことで、本人にも見えていなかった判断基準を少しずつ発見できます。
- Q7. 教えることで、教える本人も本当に成長しますか?
今回のなかのかほさんの記録では、本人自身が「教える」ことで理解が深まったと振り返っています。さらに、伝えた仲間から自分とは違う観点が返ってきたことで、自分の強みとこれから磨きたい部分、次の一手が見え、実践がより加速したと語っています。つまり少なくともこの事例では、教えることが一方向の知識提供ではなく、本人自身が自分の実践を理解し直す機会にもなっています。チームでも「教えた人数」だけを見るのではなく、教えた本人が何に気づき、次に何を変えたのかまで振り返ると、育成を双方の成長機会として研究できます。
動画でもう一度見る|伝えたからこそ、自分の強みが見えた
この記事の監修|吉野加容子


吉野加容子
YELL’s大学 学長。学術博士。脳科学・学習行動の専門家。
YELL’s大学では、知識や診断結果を知って終わるのではなく、自分で問いを持ち、考え、決め、動き、その経験を記録しながら次の考動へつなげることを大切にしています。
記録についても、成功した成果だけを残すのではなく、途中で何を考え、どこで止まり、何を試し、何があったから次へ進めたのかを研究材料として残します。
完成した人の答えを見せるだけではなく、挑戦のプロセスから「次の人が再現できる問いや考動」を発見していくことも大切にしています。
また、記録することと公開することは同じではありません。まず本人が自分自身の経験を詳しく振り返り、その後、第三者の情報や公開する必要のない内容を除き、誰かの未来に役立つ部分へ編集していきます。
まとめ|「できる」は、伝えてみることで初めて強みになることがある
自分ではできる。
だけれども、人に説明できない。
そんな時、
「私は教えるのに向いていない」
と決める前に、自分の実践を研究してみてください。
かほさんも、第1期では実践していても、
「私のやってきたことなんて大したことないだろう」
という気持ちがありました。
第2期では、
「これやってきました」
と積極的にアウトプットするようになった。
そして、教えることで自分自身の理解が深まり、仲間から返ってきた観点によって、
- 自分の強み
- これから磨きたいこと
- 次の一手
まで見えるようになりました。
さらに、実践も加速していった。
実践する
↓
伝えてみる
↓
相手の反応を受け取る
↓
自分の強みを知る
↓
次の一手を決める
↓
また実践する
この循環が、
「自分だけができること」を、「誰かの未来にも使える強み」へ変えていきます。
もし今、誰かから
「それ、どうやってるんですか?」
と聞かれていることがあるなら。
そこには、自分ではまだ気づいていない強みがあるかもしれません。
まず一つだけ、
「私は何を見て、どう考えて、これをやっているんだろう?」
と、自分自身へ聞いてみてください。































