ー 女性起業家 Sさんからのご相談 ー
「夢や目標を書いても、その時だけで終わってしまいます。
起業塾や講座で『1年後どうなっていたい?』『理想の未来を書いてみよう』というワークをするたびに、ちゃんと考えて書いています。
売上を上げたい。
家族との時間を増やしたい。
もっと自由に働きたい。
お客様に喜ばれる仕事をしたい。
書いている時は『そうなったらいいな』と思うのですが、翌週にはほとんど見返さなくなって、目の前の仕事に戻ってしまいます。
ビジョンボードを作ったこともありますし、手帳の最初のページに目標を書いたこともあります。AIに理想の未来を文章にしてもらったこともあります。
だけれども、しばらくすると存在自体を忘れてしまうんです。
周りには、夢を決めたらどんどん動ける人もいるので、『私は本気じゃないのかな』『意志が弱いから続かないのかな』と思ってしまいます。
そもそも、夢を書いても忘れてしまうのはなぜなのでしょうか?
毎日思い出して自然に動きたくなるような、“自分事の夢”はどうやってつくればいいですか?」

ー YELL’s大学 学長 吉野加容子より ー
夢を書いても忘れてしまう時、すぐに「意志が弱い」「継続力がない」と決めなくて大丈夫です。
まず研究してほしいのは、その夢を書いた時に、自分の感情がどれくらい動いていたかです。
「起業家だから売上を伸ばした方がいい」
「母親だから家族との時間を増やしたい」
「みんなが自由な働き方を目指しているから私も」
このように“正しそうな未来”から夢をつくることもできます。
だけれども、それが本人の心が動く未来と同じとは限りません。
夢を書いた後に忘れないよう努力する前に、「私は、この未来の何に心が動いている?」「この未来の中で私は何をしている?」と研究してみてください。
夢を覚える努力だけではなく、思い出したくなる未来へ育てていくという考え方もできます。
夢を書いた。その時は納得した。それなのに、数日後には忘れている。
そんな経験はありませんか?
夢が叶わない理由を考える時、私たちはつい、
「もっと毎日見返さなければ」
「目標管理ができていない」
「行動力が足りない」
と考えがちです。
だけれども、その前に確認したいことがあります。
その夢は、本当に「自分が生きてみたい未来」になっているでしょうか?
こんなお悩みはありませんか?
- 夢や目標を書いても数日後には忘れている
- ビジョンボードを作って満足して終わる
- 毎年同じような目標を書いている
- 夢を見返しても、あまり感情が動かない
- AIに理想の未来を書いてもらってもしっくりこない
- 目標はあるのに、毎日の行動につながらない
- 売上目標ばかりになり「何のため?」がわからなくなる
- 人から聞かれれば夢を答えられるが、自分からは思い出さない
- 夢に向かって動ける人を見ると自分は意志が弱いと感じる
- 本当に自分が望んでいる未来なのかわからない
この記事でわかること
- 夢を書いてもすぐ忘れてしまう時に見直したいこと
- 夢が「自分事」になっている状態とは何か
- なかのかほさんが「心躍らない」と感じていた時期
- 母親・妻・起業家としての夢と「私の夢」の違い
- 「おしゃれ社長」から未来の解像度が上がった理由
- 夢を毎日の考動につなげる4ステップ
- AIを「夢の答えを出す道具」ではなく探索に使う方法
この記事のポイント
夢を忘れないために、
何度も暗記するのではなく、
「思い出したくなるくらい、自分が心を動かす未来になっているか?」
を研究してみる。
夢を決めることより、
夢を自分事へ育てていくことが大切です。


かほさんも以前は「夢を書いても心が躍らない」と感じていた
今回紹介するのは、YELL’s大学で学びと実践を続けてきた、なかのかほさんの記録です。
かほさんも以前から、自分の未来を考えていなかったわけではありません。
マイプロデュースデザインをつくり、未来について何度も考えていました。
ところが、その時の本人の記録には、
「全然筆が進まない。」
「心躍らない。」
「無理やりひねり出していた。」
という言葉が残されています。
書いていないわけではない。
考えていないわけでもない。
だけれども、書いた未来と自分自身の感情がつながっていなかった。
ここに、「夢を書いても自分事にならない」という悩みを考えるヒントがあります。
夢が自分事にならない時、「何を書いたか」より「誰として書いたか」を見る
夢の内容だけを見ると、どれも間違っていないことがあります。
- 家族と幸せに暮らしたい
- 子どもの可能性を広げたい
- 仕事で成果を出したい
- お客様を幸せにしたい
- もっと自由に働きたい
どれも素敵な未来です。
だけれども、同じ言葉を書いていても、
「私はこれが欲しい」
から書いたのか、
「母親ならこういう夢を書くべき」
から書いたのかでは、意味が変わります。
夢を書いた後、こんな状態になっていませんか?
人に聞かれれば説明できる。
だけれども、自分からは思い出さない。
書いた時は「いい夢だ」と思った。
だけれども、翌日から何をすればいいかわからない。
目標としては正しい。
だけれども、叶った場面を想像してもあまり感情が動かない。
そんな時は、継続力を責める前に、夢と自分の感情がどこで離れているのかを見てみましょう。
夢の主語が「母親として」から「なかのかほとして」へ変わった
かほさんの転機の一つは、
「優等生をやめませんか?」
という問いでした。
かほさんの記録には、
「優等生じゃなくていいって初めていわれた。」
「物心ついた時から今日まで『いいこ』でいることでしか自分に価値はないと思ってきた。」
「『いいこ』でなくていいと言われたことで、生まれて初めて自分自身の存在を認めてもらえた気がした。」
と残されています。
夢を考える時にも、知らないうちに、
母親として正しい未来。
起業家として正しい目標。
誰かから認めてもらえそうな答え。
を探していたとしたら、どれだけ言葉を増やしても「私自身」が出てこないことがあります。
そこから、夢の主語を、
「母親として」から「なかのかほとして」へ。
変えていく探索が始まりました。
「おしゃれ社長」は夢の答えではなく、探索を始めるスイッチだった
そこで一つのきっかけになった言葉が、
「おしゃれ社長」
でした。
重要なのは、「おしゃれ社長」という夢をそのまま採用したことではありません。
その言葉に反応した自分を研究したことです。
AIとの壁打ちなどを重ねながら、
「私はなぜ、この言葉が気になるんだろう?」
「おしゃれになった先で、何をしたいんだろう?」
と掘っていきました。
表面にあった言葉は、
「おしゃれ社長」
だった。
だけれども、その奥を探索すると、
憧れている人と堂々と並び、未来に向かった会話ができる自分になりたい。
という、自分自身の人間像が見えてきました。
未来が具体的になると、夢は「覚えるもの」から「使うもの」へ変わる
夢を一行の目標として書くだけでは、今日の選択とつながらないことがあります。
たとえば、
「自由に働きたい」
だけでは、まだ幅が広い。
何時に起きている?
誰と働いている?
どんな服を着ている?
どんな会話をしている?
何を仕事にしている?
その時、どんな自分でいたい?
ここまで具体化すると、未来は単なる標語ではなくなります。
「その未来の自分だったら、今日は何を選ぶ?」
という、現在の判断に使えるようになります。
夢を毎日眺めることだけが目的ではありません。
今日迷った時に、未来を使って選べること。
その状態になると、
夢と日常の距離が少しずつ近づいていきます。
夢を毎日の考動につなげる4ステップ
まず、今書いている夢や目標を一つ見てください。
そして、
「これは誰として書いた夢?」
と問いかけます。
母親として?
妻として?
経営者として?
先生に見せる自分として?
その役割の夢を否定する必要はありません。
その上で、「一人の私としては、どうしたい?」も追加します。
次に、「自由になる」「成功する」のような抽象的な言葉を、一つの場面にします。
どこにいる?
誰といる?
何を話している?
その時の自分は、何を感じている?
未来を説明するのではなく、その場面にいる自分を想像できるところまで具体化します。
具体的に描いても心が動かないなら、それも大切な記録です。
「私はなぜ、この未来に心が動かない?」
「本当は何が違う?」
「誰かに見せるための夢になっていない?」
と問いをつくります。
ワクワクしないことを失敗にせず、夢を更新する材料にします。
最後に、
「その未来の自分だったら、今日何をする?」
と考えます。
大きな行動でなくて構いません。
憧れの人を一人調べる。
着たい服を保存する。
話してみたい人へ連絡する。
新しい企画を一行だけメモする。
未来を「いつか叶えるもの」から「今日の判断に使うもの」へ変えていきます。
AIに夢を書いてもらうだけで終わらせない
AIを使えば、理想の未来を文章にすること自体は簡単になりました。
だけれども、AIが書いた未来が、そのまま自分の夢になるとは限りません。
おすすめなのは、AIを「夢を決める人」ではなく「未来を探索する相手」として使うことです。
答えを生成してもらうだけではなく、AIから問いを返してもらい、自分の反応を研究する。
そうすることで、夢の解像度を上げる壁打ち相手として活用できます。
動画で見る|「心躍らない夢」から“私の夢”へ変わるまで
かほさん自身が、以前の夢をどう感じていたのか。
「優等生をやめませんか?」という言葉から何が変わったのか。
そして「おしゃれ社長」という一言を入口に、“母親としての夢”ではなく“なかのかほとしての夢”をどう見つけていったのか。
夢を考えても動けない時は、HEROコード診断から「止まる理由」を研究する
夢を描いても動けない時、夢だけに原因があるとは限りません。
未来へ進もうとした時に、
- 失敗するのが怖くなる
- 人と比べて止まる
- 正解を探し続ける
- 考えすぎて決められない
- やりたいのに「どうせ無理」が出てくる
という、自分なりの止まり方があることもあります。
HEROコード診断は、自分を固定的なタイプに当てはめるためではなく、自分が未来へ進む時のアクセルやブレーキを研究し、次の考動を見つける入口として活用する診断です。
夢や目標を書いても行動につながらない女性起業家のFAQ
- Q1. 夢や目標を書いてもすぐ忘れてしまうのは、意志が弱いからですか?
-
夢を忘れるという一つの現象だけから、「意志が弱い」と決める必要はありません。忙しくて見返す機会がない場合もありますし、目の前の仕事に注意が向いていることもあります。その上で研究したいのが、「書いた夢に自分の感情がどのくらい動いていたか」です。起業家だから売上目標を書く、母親だから家族との時間を書くなど、“正しい目標”をつくることはできます。だけれども、それが本人自身の心が動く未来と一致しているとは限りません。
かほさんも以前から未来を書いていましたが、その時の記録には「全然筆が進まない」「心躍らない」「無理やりひねり出していた」とあります。つまり、書くという行為はできていても、本人自身の感情と未来が十分につながっていない時期がありました。その後、役割としての正解だけではなく「なかのかほとしてどう生きたい?」を探索し始めます。
忘れない工夫も役立ちますが、その前に「私はこの未来の何が嬉しい?」「誰にも見せなくても叶えたい?」「叶った時、私は何をしている?」と問い直してみてください。夢を覚えられない自分を責めるのではなく、忘れてしまうこと自体を「この夢はどこまで自分事になっている?」と研究するきっかけにすると、次の発見につながります。
- Q2. 夢を毎日見返せば、行動できるようになりますか?
-
夢を毎日見返すことは、未来を思い出す仕組みとして役立つ場合があります。手帳の最初に書く、スマートフォンの待ち受けにする、朝に読み返すなど、自分に合う方法をつくるのも一つです。だけれども、「毎日見れば必ず行動できる」とは限りません。見返している夢そのものが自分事になっていなければ、毎日読んでいても単なる文章になってしまうからです。
そこで、夢を見返す時に読むだけで終わらず、「今日、この未来に近づくために何を一つ選ぶ?」まで考えてみてください。たとえば「自由に働く」という未来なら、今日の予定を一つ減らすのか、任せられる仕事を探すのか、新しい働き方を調べるのか。未来と今日の選択をつなぎます。
さらに、実際に動いてみて「楽しかった」「思っていたのと違った」という反応も記録します。夢を見る→一歩試す→感じたことを記録する→夢を書き換える。この循環をつくると、夢は壁に貼って眺めるだけの目標ではなく、毎日の判断に使う未来設計へ変わっていきます。
- Q3. 夢を書いてもワクワクしない時は、書き直した方がいいですか?
-
すぐに全部書き直す必要はありません。まず、「なぜ心が動かないのか」を研究してみるのがおすすめです。まだ未来が抽象的すぎて想像できないのかもしれませんし、本当に大切だからこそ不安や怖さが先に出ている可能性もあります。また、誰かから見て正しい夢を書いていて、自分自身の欲が入っていないこともあります。同じ「ワクワクしない」という状態でも理由は一つではありません。
そこで、「この夢が叶った一日」を具体的にしてみてください。どこで起きるのか、誰と過ごすのか、どんな仕事をするのか、どんな会話をするのか。その場面まで描いた時、自分が何に反応するかを見ます。もし「この部分はいらない」「本当はこうしたい」という言葉が出たら、それが夢を更新する材料になります。
かほさんも「おしゃれ社長」という言葉をそのまま完成形にしたのではなく、そこから「なぜ心が動いた?」を掘り下げました。その結果、表面的なおしゃれではなく「憧れている人と堂々と並び、未来の会話ができる自分」という人間像が見えてきました。心が動かないことを失敗とせず、新しい問いを見つける材料にする。その視点で夢を育ててみてください。
- Q4. AIで理想の未来を作っても、なぜ自分事にならないのでしょうか?
-
AIは、入力した条件から魅力的な未来像を文章化することができます。だから「理想の一日を書いて」「1年後の成功した私を描いて」と頼めば、きれいな未来をつくること自体はできます。だけれども、その文章が本人の心を動かすかどうかは別です。AIが作った文章を読んで「たしかに理想的」と思うことと、「私はこの未来を生きたい」と感じることは同じではありません。
そこで、AIに完成品を作ってもらうだけではなく、質問役になってもらいます。「私が本当に望んでいる未来を発見したいので、一問ずつ質問してください」「この未来のどこに心が動いているのか掘り下げてください」「役割としての正解を書いていないか確かめる質問をしてください」などと頼み、自分の反応を観察します。
AIから出た言葉をそのまま採用するのではなく、「これは好き」「これは違う」「なぜかこの一文だけ気になる」と選別することも重要です。AIに夢を決めてもらうのではなく、AIとの対話によって自分自身の問いを増やす。そうすると、未来を自分で発見し、更新していくための壁打ち相手として活用しやすくなります。
- Q5. 夢を毎日の行動につなげるために、今日できることは何ですか?
-
今日できることは、夢をさらに大きく書き直すことではなく、今ある夢を一つ選んで「この未来の自分なら、今日何をする?」と問いかけることです。たとえば「好きな場所で自由に働く」が夢なら、いきなり仕事を辞めたり引っ越したりする必要はありません。気になる場所を調べる、そこで仕事をしている人の発信を見る、近所のカフェで1時間だけ仕事をしてみるなど、小さな実験に変えます。
そして実験した後に、「何がよかった?」「何が違った?」「次はどうしたい?」を記録します。ここが大切です。夢は頭の中だけで考えている時には、自分に合っているか判断できないことがあります。実際に少し動くことで、「これはもっとやりたい」「想像とは違った」という新しい情報が手に入ります。
その情報を使って未来を書き換え、また一歩試します。夢→今日の小さな考動→記録→夢のアップデートという循環をつくると、夢は年に一度書く目標から、毎日の選択を助けるものへ変わっていきます。まず今日は、今ある夢の中から一つだけ選び、「1%だけ叶えるなら何をする?」を書いてみてください。
この記事の監修|吉野加容子


吉野加容子
YELL’s大学 学長。学術博士。脳科学・学習行動の専門家。
YELL’s大学では、知識や診断結果を知って終わるのではなく、自分で問いを持ち、考え、決め、動き、その経験を記録しながら次の考動へつなげることを大切にしています。
夢や未来設計においても、きれいな目標を書いて完成させることだけをゴールにはしません。
一人ひとりが持っている違いを見ながら、どんな未来に心が動いているのか、どこで考動が止まっているのか、どんな問いや小さな実験が次の発見につながるのかを研究しながら、自分自身で未来を更新できる力を育てています。
また、本人が夢を書けるようになるだけではなく、未来から今日の一歩を決め、実際に考動し、その経験を言葉と記録へ変え、さらに未来を書き換えていくこともYELL’s大学が大切にするテーマです。
この記事でも、夢を忘れることを本人の意志の弱さだけで捉えるのではなく、夢がどこまで自分事になっているのかを問い直し、未来→小さな考動→記録→未来のアップデートを繰り返しながら、自分自身が生きたい未来を育てていくという視点から解説しています。
監修:吉野加容子(学術博士/脳科学・学習行動の専門家/YELL’s大学学長)
まとめ|夢を「忘れないようにする」前に、自分事へ育てよう
夢を書いても忘れてしまう。
目標を立てても日常に戻ってしまう。
そんな時、すぐに自分の意志の弱さを責める必要はありません。
まずは、
「この夢は、本当に私が生きたい未来?」
と問い直してみてください。
夢を書く。
心が動く場所を探す。
未来を一場面まで具体化する。
今日できる小さな考動にする。
やってみて、記録する。
そして、また夢を書き換える。
夢は、一度決めて忘れないように暗記するものではなく、未来へ進みながら育てていくことができます。
自分の「止まる理由」と未来への進み方を知りたい方へ
夢を描いてもなかなか考動につながらない時は、自分が未来へ進む時のアクセルとブレーキから研究してみませんか?
HEROコード診断では、自分を固定的なタイプに当てはめるのではなく、自分の進化パターンを知り、次に進む道を自分自身から見つけるための入口として診断を活用します。
































